
1月に観た映画をもう少し。備忘録にしても周回遅れとなり、恐縮です。
リンクさせていただいている
mamiyaさんや
くろばくさんがかなり手厳しく批判していた「
レ・ミゼラブル」ですが、これは確かに困った出来で、あえて偉そうな言い方をさせてもらうと、映画になっていない。舞台の呼吸で場面転換したり、クローズアップを多用しているからか、物語の世界観は狭まり、すべてがご町内の騒動レベルに。ジャン・バルジャンの「すぐ戻る」はコントとなり、彼を追うベジャール警部は「タイホする!」を連発する
「天才バカボン」のおまわりさんに見えてくる。
この映画がそれなりに評判がいいのは、舞台版のファン層に支えられているからかな。出演者の歌唱力はさすが(サマンサ・バークスの「オン・マイ・オウン」とか良かった)だし、衣装やセットも凝ってます。舞台の感動を反芻したり、「今回のキャストは…」といった、リピーター的な見方をするなら、楽しめるのかも。
ということで、これなら舞台を観たくなってしまうのですが、案外それが製作側の作戦だったりして。
韓国で大ヒットしているという日経ビジネスの記事(要登録)を読むと、「ライオンキング」的に映画の浸透力を使って海外公演の拡販、本国公演の観光客誘致をあらためて狙っているのではないか…と穿った気持ちになってしまいます。
我ながら素直じゃねぇな、と思いますが、そう思わせてしまう出来な訳でして。

「
ドライヴ」のキャリー・マリガンを観て、真っ先に頭に浮かんだフレーズが「向こうの田畑智子」。なんか朝ドラのシングル・マザーのイメージと被ってしまいまして。
で、今度は「
SHAME-シェイム-」ばりの体当たり演技で、主演女優賞ももらったりしている「
ふがいない僕は空を見た」をエロ系の興味半分、作品への期待半分で行ってみたのですが。
うーん、真面目だなぁ…というのが第一印象。コスプレ・プレイ(って重なってますな)とかが話題になっていたので、もっと弾けちゃっているのかと思ったのですが、そういう訳でもなく、いろいろ「抱えた」人たちの群像劇を(多少コミカルな描写もあるものの)基本暖かく見つめる、という感じで。
そういった作り手の姿勢や作品の展開を指弾するつもりはないのですが、個人的にはこういうテーマは「笑い飛ばして」見せて欲しいなぁ、というのが正直なところです。助産院の助手を演じる梶原阿貴のきっぷの良さで何とか救われました。それと校内描写は「桐島」と比べると説得力が弱いかな。団地内のお歴々の闊達さと比べて差を感じてしまうのは役者の力量だけではないのでは。
いっそのこと、準主役だった窪田正孝・小篠恵奈コンビを中心の現状突破コメディにして、イケメン故リア充に見えてしまう永山絢斗は田畑智子(好演)や田中美晴を弄ぶ鬼畜キャラの悪役に、三浦貴大はおねえキャラで怪演させたら…と、こんなことをつい考える俺は「ドリームガールズ」のJ・フォックス扮する音楽プロデューサーみたいな性格だな、ハリウッド映画ばかり見ているからこういうアタマになるのかな、と自問自答しつつ、家路に着いたのでした。