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2012年2月27日月曜日

ジュリアス・シーザー/殺しのカルテ/ブロンド美女連続殺人

「いちご白書」のエントリーでMGM日本支社の閉鎖について触れましたが、残念ながらこちらの調査不足で、いつごろ閉鎖したのかの特定まではできていません。ただ、70年代のMGM配給作品をリストアップしてみると、1974年初頭の4作、「大乱戦」「組織」「キャット・ダンシング」「ターザンの猛襲」(4月5日終了)で途切れますので、この年の前半には閉鎖されているのではないかと考えられます。ちなみに「いちご白書」の興行(ニュー東宝)も2週間で終了していますので、公開当初はさほど注目されていなかったのかもしれません。

で、この時代のMGMの不振を物語るかのようにいくつかのお蔵入り作品のチラシが存在します。いったいどこからどうして流出してきたのかは分かりませんが、結構な数が出回っており、この年代のコレクターにはポピュラーですので、ちょっと調べてみました。

 まずは「ジュリアス・シーザー」のリバイバル。初公開は1953年ですが、なぜこの時期にリバイバルされたかと考えますと、同じタイトルでチャールトン・ヘストン主演の新作が1970年2月に封切られているので、これに便乗したのではないでしょうか(あくまで推測ですが)。
画像のチラシには館名がありませんが、ケイブンシャの「秘蔵!洋画チラシ全集」(リンク先のアマゾンの画像は間違いなので注意)のP19にはニュー東宝の館名入りが掲載されています。ニュー東宝がシネマ1に改称されたのは72年5月なので、それ以前の予定ということになります。この時期のニュー東宝は71年の夏休み作品「小さな恋のメロディ」の20週ロングランに始まり、続く「卒業」のリバイバルも6週、正月作品の「初恋」が9週、「ロミオとジュリエット」のリバイバルが約10週で劇場名変更、という青春映画で大繁盛の状況。これらの作品より前に予定していたかもしれませんが、はじき飛ばされちゃったかな、という印象を持ってしまいます。

続いての「殺しのカルテ」はマイケル・クライトン別名義で書いた小説の映画化で、1972年の製作。前年に彼の原作映画化でヒットした「アンドロメダ…」には触れられているものの、1973年に彼自身が監督してヒットした同じMGMの「ウエストワールド」に関する記述が無いところを見ると、それより前に作られたチラシということしか判明せず。サントラ盤(ビートルズで有名なオデオンレコード)が出ているので、その時期が分かれば…と思ったのですが、これも品番(Toshiba/Odeon EOR10223)以外の情報は見つかりませんでした。ちょっと残念。


さらに「ブロンド美女連続殺人」(1973)となると、ネット上はほとんど情報なし。本家のIMDbを見ても、この映画で宣伝されてる「DUO-VISION」(スクリーンを2分割して上映を進めていく手法)と「悪魔のシスター」(アメリカでは1973年5月公開)のスプリットスクリーンの手法との類似性が指摘されてる程度の情報しかつかめませんでした。監督の方もテレビ畑の人のようです。

とりあえずこの程度のことしか分かりませんでしたが、少しはお役に立ちましたでしょうか。もう少し知ってるぞ、という方はぜひご一報を(こればかりですが悪しからず)。

※H24.12.12追記 その後の調べでMGM日本支社の閉鎖時期は1974年2月と判明しました。関連エントリーはこちらで。

4 件のコメント:

チョコ さんのコメント...

この辺りのチラシは自分も所有してますが、やはりオクラ入りチラシというのは気になります。
知らない映画でもついつい食指が動いてしまいます。
「殺しのカルテ」「ブロンド美女連続殺人」これ2つ共館名欄ないですよね。
この頃のチラシって他にもジャケット版なんかで割と館名欄のないのが多いんですが、何故なんでしょうね?

紀住 圭人 さんのコメント...

チョコさん、コメントありがとうございます。
「殺しのカルテ」「ブロンド美女連続殺人」、確かに館名欄がありませんね。ただ、「ビリー・ザ・キッド」や「キャット・ダンシング」あたりも館名欄を考えていないデザインといえそうです。
大全集とかを眺めた感じでは、現在も主流であるB5が大半になるのは74年頃なので、それより前は過渡期で、サイズや館名スペースにさしたる基準がなかったのかもしれません。ブームと軌を一にしてB5化が進んだのかな、と思ったりもします。

源頼光 さんのコメント...

Ktosです。
Duovision(たいした仕掛けではないとおもいますが)のシステムが作れなかったのがお蔵入りの理由と聞いたことがあります。
MGM のチラシはほとんど館名が表にあります。空白がない場合は強引に表に印刷します。
例外あり。70年公開 最後の脱出
これらも公開する予定だったのでしょうが、タイミングを逃がし館名印刷されることなく忘れられてしまったんだと思います。

紀住 圭人 さんのコメント...

源頼光さん、コメントありがとうございます。
Duovisionの設置コストがネックだったという説は、チョコさんからもネタ元情報とともに寄せられており、そのうちアップいたします。
70年代のMGMで館名が裏にあるのって他にぱっと思いつくのは、「エロチカ海賊'73」「ロス・アミーゴス」「トレイダー・ホーン」あたりでしょうか。確かに少ないですね。