いきなり余談ですが、「『いちご白書』をもう一度」のリリースは1975年8月。「いちご白書」(1970年9月公開)を配給したMGM日本支社はすでに閉鎖されていたので、もう一度観たくても映画館では観られなかったはず(ちなみにこの年の3月に公開されたMGMミュージカルのアンソロジー「ザッツ・エンタテインメント」は松竹=富士が配給)。
現在の眼から見ると、学園紛争の意味がどうのと言うより、その当時の風俗を楽しむ映画になっちゃってます。運動に参加する若者たちのノリは他愛無く、お気楽とすら言えそう。それこそ昨今ネットをにぎわせたアンチ韓流デモと五十歩百歩。マスコミと大企業の癒着を非難するのもいっしょ、女の子目当てに参加するのもいっしょ。メジャー系の映画なので、政治的なメッセージはぼかしたのかもしれませんが(製作が「ロッキー」のチャートフ&ウィンクラーだったのでびっくり)。
とはいえ、警官隊突入あたりからラストにいたる展開は手持ちカメラや台詞を排した演出が効果を上げていて、この辺はニューシネマの片鱗がありました。
こちらは初公開時のチラシ。 渋谷宝塚なので、拡大公開時かも。 |
劇中、学生たちが盛んに警官たちをPIG(ブタ)と呼んでいるのを観て、そういえばマックィーンが「ブリット」のオファーが来た当初、「この俺にPIGを演れというのか」と拒絶したというエピソードを思い出しました。ロケ地がサンフランシスコだったので、ブリットさんやハリー・キャラハンさんも捕まえた学生さんの取調べを手伝ってたのかなぁ、ご苦労なこってした、と妙な感慨にとらわれた次第。
でも、後で調べたら、コロンビア大学って実際はニューヨークにあったのね。知りませんでした。
「幕末太陽傳」は、小林信彦あたりから仕入れた知識でその存在は随分昔から意識していたのだけれど、今まで観る機会が無かったので、そういう意味では今回の再映は嬉しかったです。
もちろん、普通に観ているだけでも充分面白い作品なのですが、これ一本だけ観て日本映画の黄金期を語れるはずもなく、この映画の”肝”であろう落語や江戸言葉の知識の無さなど、己の無教養さをひたすら恥じ入る110分でもありました。
客に対して結婚の空手形を出しまくる女郎たちの姿は来店お願いメールを打ちまくる当節のキャバ嬢となんら違いは無いなぁ、というベタな感想もあるものの、やっぱり「お茶をひく」ってこういうときに使うんだな、みたいなところがあちこち出てくる訳でして。
勉強する、というものではないにしろ、もう少しいろいろ知識を身につけて、また観てみたい作品でした。
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