先日のエントリーで「サウンド・オブ・ミュージック」のリバイバル版(レコード番号付き)について情報を募集しましたところ、チョコさんより早速情報提供いただきました。いつも本当にありがとうございます。
なんと、1976年10月10日にNET(現在のテレビ朝日)の日曜洋画劇場で放映された時のチラシのようです。なぜテレビ放映のチラシが流通しているのかまではちょっと分かりませんが、やはりショップ経由なんでしょうね。もし、このテレビ放映版をお持ちの方で、どこで入手したかご記憶の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントかご連絡をお願いいたします。
偶然ですが、時を同じくしてヤフオクでこの作品の細かいバリエーションを出品されている方がいらっしゃって、そこにもこれと同じチラシが含まれていました。
その出品で知ったのですが、1978年4月1日~14日にスバル座で上映された際もチラシが出ているようです(こちらの75年12月のTY系上映と同じ、70㎜なし・裏青バージョン)。おそらくその前に上映した同じFOXのアニメ作品「アンとアンディの大冒険」が2週間で打ち切りになったためのピンチヒッターだと思われます。やはり出ていたか…
さすが名作、人気作品だけあって、いろいろと上映されていますね。76年秋にレコード番号付きバージョンが配られているのであれば、チラシは出ていないのでは…とした、76年12月のテアトル銀座・新宿武蔵野館の緊急上映時に配布された可能性も捨てきれなくなりますね。とはいえ78年4月版は元に戻っているわけで。う~ん、奥が深いです。
さて、今回もお助けいただきましたチョコさんより、この度ブログ「映画チラシと共に」を開設したとの連絡をいただきましたので、リンクを貼らせていただきました。すっかり70年代に逃避している小生と違い、現役バリバリ(この表現も古いな)のコレクターですので、今後の展開を楽しみにしております。
チョコさん、これからもよろしくお願いいたします!
おことわり
本ブログの画像の転用は固くお断りします。
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2012年9月30日日曜日
2012年9月22日土曜日
フューリー(の念写)
キャッチコピーが「サスペリア」の後追いですね。 |
チラシブーム全盛の70年代後半から80年代半ばにかけて、 以前紹介した「サウンド・オブ・ミュージック」のような”館名が実際の公開時期と合わないチラシ”が一部のショップを通じて市場に流入していきました。
この時代、いくつかのショップでチラシの原版を再度印刷したものを販売していたのですが、公開日・館名の告知欄が空白になっていると商品の魅力が弱いので、別の作品のそれを加刷するということが行われていました。子供だましの方法なのですが、それこそお客さんが子供だったので、やってしまったんでしょうね。
自分も当時、某ショップでまとめ売りのパック商品を買ったところ、違う作品なのに同じ館名・公開日のチラシをいくつも発見し、勉強させていただきました。勉強、というか、怒りのあまりあとで本物(公開当時のもの)を入手するたびに破り捨てていたのですが、そのうち、「これはこれで往時をしのぶ品として取っておくか」という仏の心境(←バカ)になり、若干ではありますが、現在でも所有しています。
そんな再版・加刷(と思しき)チラシの中で、非常に分かりやすい例が「フューリー」を使ったものです。
他にもまだあったように記憶していますが、現在手持ちにあるものをこちらでまとめてみました。
「フューリー」は1978年9月公開。千代田劇場は東宝邦画系のチェーンマスターなのですが、この時期あたりから東宝の邦画系でも日比谷の映画館だけ洋画系の劇場を使うことが増えてきました。ちなみにこの時期の東宝邦画系作品は「火の鳥」や「聖職の碑」で、有楽座で上映しています。そのあおりで千代田劇場は「フューリー」をかけたと(似たような例が1981年8月の「ラスト・レター」)。
それにしても、あらためて並べてみますと、笑ってしまいますね。「悪魔の追跡」や「エミリアンヌ」ならともかく、「うず潮」や「恋愛日記」まで”衝撃のロードショー”だもの。
今でもこの手の品を時々ヤフオクで見かけることがありますが、知識のない出品者側に責任を求めるのは酷というもの。プレミア品と違って真正品も安く手に入るので、もし、ここを見て「あちゃー」と思った方(ほとんどいないと思いますが)も、どうか大人の態度でリカバリーしていただければと思います。自分もただの素人ですので、本エントリーを書いたこと以上の責任は負えませんので、その点はご諒解願います。
2012年9月13日木曜日
最強のふたり
休み明けから仕事のドタバタと夏バテで、すっかりぐったり。結局8月に観た映画は「おおかみこどもの雨と雪」だけになってしまった。
これはイカンと、疲れた身体にムチ打って、やっとこさ出かけたのが「最強のふたり」。フランスでは歴代№2のヒット作なんだそうで、じゃあ1位は何なのかと調べたら、都会人の田舎暮らしを題材にしたコメディで、日本では未公開。まだまだこういうことってあるんですね。
東京国際映画祭グランプリとはいうものの、おフランスな芸術性がある訳ではなく、むしろフランスのコメディ映画らしい泥臭さが身上、て感じの作品。ちょっとアブないギャグも混ぜつつも、オーソドックスな人生賛歌。
介護の仕事をしている人から見たら、その種の描写が表面的で物足りないかもしれないし、身障者側からのカメラ目線とかもあってもいいかな、とかケチをつけ出せばいろいろありそうなのですが、チラシにもある主役ふたりの笑顔が気持いいので、とりあえずいいか、という感じ。疲れた身体には笑顔がいちばんです。
(客の入りが)「2割、3割は当たり前♪」みたいなこちらのシネコンのレイトとしては、珍しく6割くらい入っていて、それなりに観客の反応もいいと、何だかそれだけでも嬉しくなってしまいます。フランスの満員の映画館で観たらもっと楽しめるんだろうなぁ。
作品の出来云々より、みんなで観るという映画体験の魅力の片鱗を久々に感じたひとときでした。
介護の仕事をしている人から見たら、その種の描写が表面的で物足りないかもしれないし、身障者側からのカメラ目線とかもあってもいいかな、とかケチをつけ出せばいろいろありそうなのですが、チラシにもある主役ふたりの笑顔が気持いいので、とりあえずいいか、という感じ。疲れた身体には笑顔がいちばんです。
(客の入りが)「2割、3割は当たり前♪」みたいなこちらのシネコンのレイトとしては、珍しく6割くらい入っていて、それなりに観客の反応もいいと、何だかそれだけでも嬉しくなってしまいます。フランスの満員の映画館で観たらもっと楽しめるんだろうなぁ。
作品の出来云々より、みんなで観るという映画体験の魅力の片鱗を久々に感じたひとときでした。
2012年9月9日日曜日
アラビアのロレンス(70年代リバイバル)
「宇宙からの脱出」(1970.4.11公開)の裏面。 「近日・当劇場で大公開」とありますが、実際に 公開されたのは翌年2月になってからです。 |
とはいえ、その辺をしっかり分けて表示しているチラシも一方であり、その代表格が「アラビアのロレンス」です。
この作品はそれこそ何度もリバイバルされているのですが、70年代に5年連続(!)リバイバルされた際は基本的に同じものを使いまわしています。普通なら年代の区別がしにくくなるものなのですが、このチラシは上映方法の表記でしっかり分けることができます。こちらにまとめてみました。
シネラマ、D-150、70㎜と、大画面による上映方法のロゴが並んでいるのが懐かしいですね。
先日、TOHOシネマズに行ったら、いつのまにか「バック・トゥ・ザ・シアター」なる企画が始まっていて、第2弾として「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を3日間だけ上映するようです。「テレビサイズじゃ、物足りないでしょ!?」というキャッチコピーが掲げてありましたが、この時代の作品はすでにビデオ化が前提だったりするので、やっぱり「ロレンス」あたりのテレビサイズを全く考慮していない作品をもっと映画館で観られたらありがたいんですけれどね。
サウンド・オブ・ミュージック(の怪談)
怪談ってほどではないのだけれど、正体不明のチラシがありまして。
「ジャンル別」「五十音順」「年代別」…チラシの整理方法は皆さんそれぞれかと思います。
自分の場合は70年代以降は年代順、リバイバルものと60年代以前は入手順、という感じなのですが、そうするきっかけになったのは、集英社が1980年に発行した「チラシの本」というのがありまして、これが70年代のチラシを各年別に並べていて、非常に整理しやすかったからでした。スクリーンのチラシ大全集が出るまではこの本の年代別ページだけを切り取って保存してリファレンスにしていた次第。吉田真由美の(今思えばかなりフェミニズム寄りの)解説にも随分影響を受けたものです。
で、この本がリバイバルものについては巻末にまとめて掲載していたものだから、30年以上経った今でもリバイバルものだけ別ファイルに放り込んでいる状態。複数回リバイバルされると、どれがいつのものやら、分からなくなってしまってます。
以前「サウンド・オブ・ミュージック」のエントリーを書く際に、あちこちにあったこの作品のリバイバル版のチラシをまとめてみたのですが、その時にみつかったのがこの1枚。他のチラシとは違い、下部にサントラ盤のレコード番号が記載されています。
裏面は75年にリバイバルされたものと同じ文面。75年ものには下部のサントラ告知はありません。80年のリバイバルは「〈オリジナル・サウンドトラック盤〉RCAレコードより発売中!」とあるものの、レコード番号はなし(裏面の文章も違います)。
テアトル銀座の館名があるので、1976年12月の公開時のもの、と考えられなくもないのですが、こちらにも書いたとおり、この時の公開はかなり緊急避難的な意味合いが強いので、チラシが出たかは甚だ疑問。ついでに書けばテアトル銀座は70㎜上映館じゃないですしね。
裏面の刷りが黒いところからみて、このチラシは当時よく出回ったショップ系の再版ものかなと思うのですが、それならそれで、「レコード番号のある本物」がどこかに存在しているはずではないかと。そしてそれは、いつの公開時なのか?
定番でありながら、顧みられることがあまりないチラシなので、難しいかもしれませんが、この辺りの情報がございましたら、ぜひご連絡願います。
※H24.9.30追記 チョコさんより情報をいただきましたので、こちらで紹介しております。
「ジャンル別」「五十音順」「年代別」…チラシの整理方法は皆さんそれぞれかと思います。
自分の場合は70年代以降は年代順、リバイバルものと60年代以前は入手順、という感じなのですが、そうするきっかけになったのは、集英社が1980年に発行した「チラシの本」というのがありまして、これが70年代のチラシを各年別に並べていて、非常に整理しやすかったからでした。スクリーンのチラシ大全集が出るまではこの本の年代別ページだけを切り取って保存してリファレンスにしていた次第。吉田真由美の(今思えばかなりフェミニズム寄りの)解説にも随分影響を受けたものです。
で、この本がリバイバルものについては巻末にまとめて掲載していたものだから、30年以上経った今でもリバイバルものだけ別ファイルに放り込んでいる状態。複数回リバイバルされると、どれがいつのものやら、分からなくなってしまってます。
以前「サウンド・オブ・ミュージック」のエントリーを書く際に、あちこちにあったこの作品のリバイバル版のチラシをまとめてみたのですが、その時にみつかったのがこの1枚。他のチラシとは違い、下部にサントラ盤のレコード番号が記載されています。
裏面は75年にリバイバルされたものと同じ文面。75年ものには下部のサントラ告知はありません。80年のリバイバルは「〈オリジナル・サウンドトラック盤〉RCAレコードより発売中!」とあるものの、レコード番号はなし(裏面の文章も違います)。
テアトル銀座の館名があるので、1976年12月の公開時のもの、と考えられなくもないのですが、こちらにも書いたとおり、この時の公開はかなり緊急避難的な意味合いが強いので、チラシが出たかは甚だ疑問。ついでに書けばテアトル銀座は70㎜上映館じゃないですしね。
裏面の刷りが黒いところからみて、このチラシは当時よく出回ったショップ系の再版ものかなと思うのですが、それならそれで、「レコード番号のある本物」がどこかに存在しているはずではないかと。そしてそれは、いつの公開時なのか?
定番でありながら、顧みられることがあまりないチラシなので、難しいかもしれませんが、この辺りの情報がございましたら、ぜひご連絡願います。
※H24.9.30追記 チョコさんより情報をいただきましたので、こちらで紹介しております。
ちなみに「サウンド・オブ…」には怪しい品が他にもあり、例えば、80年代版(裏面左下広告が「少年と鮫」)の文面のバージョンで上記の館名が刷られているものがあります。前売券の値段が高い、という以前に上映時間(174分)がタイムスケジュールと合っていません。 |
2012年9月2日日曜日
グリーンマイル/ふたりだけの森
「アカデミー賞最有力!」との合わせ技 |
では全米はいつから泣きはじめたのか。
ヤフー知恵袋や同人用語の基礎知識等、今までもこの話題はとりあげてられているものの、諸説紛々という感じ。この疑問が解決しづらいのは、おそらくTVのCMや日本版の予告編から流行った言葉であり、検証するにも材料が乏しいからでしょうね。
とりあえず、チラシで検証するとどうなるか。幸い、チラシ大全集のように時系列でチラシを並べた本があり、表面だけという制限はあるものの、にらめっこすることしばし…
こちらでも触れられているグリーンマイル(2000年公開)やオールド・ルーキー(2003年公開)といった作品の「泣き」を煽る大量宣伝が、このフレーズがネットに流布した原因だと思いますが、「全米が泣いた!」がそのまま使われている例は見つかりません。やはり、予告編やCMの影響が大きいのでしょう。
「全米」という言葉自体はもちろん昔からある言葉なのですが、映画業界で頻繁に使われだしたのはCICがUIPに組織変更された80年代半ばからと思われます(これはまた、あらためて検証してみるつもり)。
さらにさかのぼってみると、ふたりだけの森(1977年公開)にこのコピーがメインではないものの、発見。裏面でも使われているところをみると、配給会社としてもお気に入りのフレーズだったよう。
ただ、当時の新聞広告を見ると、このフレーズは一切使われていないので、一般的に流布されたものではないと思われます。
ちなみに新聞広告は若手タレントのコメントで埋められているのですが、大見出しの夏目雅子(女優ではなくクッキーーフェイスのモデルとして)はさておき、他のメンツが清水健太郎、松本ちえこ、沖雅也というのが何とも…だったりします。
自分が調べた限り、とりあえずこれがいちばん古かったです。
左が初公開(1969年)、右がリバイバル(1973年)。 どちらも擬人化したフレーズになっています。 |
さすが東宝東和といったところでしょうが、さらにルーツをさかのぼると、同社のクリスマス・ツリー(1969年公開)で「世界が泣いた!」という表現が。
「全米が泣いた」が愛用(?)される原因は、全米が泣くという「擬人化」、あえて「○○中」の「中」を抜く大胆さの持つツッこみ感にあると思うのですが、その種の文法をつくったのは東和かな、というのが現段階の私見です。
あくまで私見であって推定の域を出ませんので、異論・反論・反証等がございましたら、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
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