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2012年10月21日日曜日

鍵泥棒のメソッド/桐島、部活やめるってよ

珍しく邦画を続けて2本。

内田けんじ監督の映画は脚本がよくできていて面白い、というのをあちこちで読んでいたので、今回ようやく「鍵泥棒のメソッド」へ。

話は二転三転、伏線も結構回収していくし、登場人物のキャラもそれなりに立っていて、まぁハッピーエンド、とほどほどには楽しめたのですが、どうも自分の中で違和感が残ってしまったのはなぜなんだろう。あまり「『映画』を観た」という満足感がしないんですよね。できのいい深夜ドラマか小演劇を見た、という感じで。それが撮影のせいなのか、演出のせいかは分からないのだけれど(というか単なるこっちの偏見なのかもしれませんが)。例えば、香川照之が堺雅人に「演技指導」するシーンも、地上波の若手漫才師のコントか小劇団の中継をテレビで観ている感じで、今ひとつ映画にのめり込む魅力が全体的に薄かったように思いました。

ほかの観客は観たあと楽しそうに話し合っているし、少なくとも昨年観た、久しぶりにスクリーンに石を投げたくなった「幽霊裁判コメディ」とは比較にならないほど上なので、野暮なことは言わない方がいいのかな。

一方の「桐島、部活やめるってよ」。尻上がりに評判が高まっているようですが、これは面白かったです。

学内格差、みたいな解説がされているようですが、カースト(上下関係)というより、その昔宮台真司が書いていた「教室の島宇宙化」的な、小集団がバラバラで互いに無関心、といった感覚のほうが近いかも。差別というより区別。一応の主人公(神木隆之介)は「桐島の退部」そのものに興味ないし。

自分は男子校だったので、共学の雰囲気など知るわけもないですが、ここで描かれている「小集団内の微妙な緊張関係」はおそらく誰しもが経験する「日本的な人間関係の縮図」で、その辺のリアリティが共感を呼んでいるのでしょう。桐島の退部をきっかけに『仲良し』女子4人組が些細な表情・会話から崩壊していくシーンとか圧巻。映画館での前田のうろたえ方とかも他人事ではないし。

映画部の新作の題材が、原作と変えたうえで、「スーパーエイト」の主人公たちのそれと被るのが「現代の映画」として引っかかるんですが、あれだからこそ、クライマックスはアレな訳でして。それが内輪受け=日本映画界の限界を示していないかと懸念する気持も無きにしもあらずなのですが、これも野暮なことは(以下略)。その辺を抜きにしても、ストーリーの時間軸の構成等、いろいろ手応え・見応えのある作品でありました。

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