5月に観た映画の続き。
「
バトルシップ」、妙に奥歯に物の挟まったようなホめ方がされているのはクレジットに出ている
世界一の広告代理店がいっちょ噛みしているからなんですかね。それともあまりにも洋画の興行実態が悪くて、少しでも褒めておかないとまずい状況なのか。
ボードゲームの映画化だそうで、ストーリーや位置関係は分かりやすいし、伏線の回収も一応キチンとしている。最後にアレを動かすのも、映画なんだから全然OK。
主役の二人もまぁ頑張っているけれど、脇役が弱すぎ。何だあのマット・デイモンのフリした
ゲイリー・ビジーやミシェル・ロドリゲスになり損ねたウィノナ・ライダーは。ガキっぽさ全開で、軍事演習が少年兵のピクニックにしか見えないぞ。リーアム・ニーソンも「制服を着て、立ったまま話す簡単なお仕事です。」という感じで、あれでチキン・ブリトーの厚さ位の1万ドルの札束もらうんだろうな。「
96時間」の96分の1くらい仕事しろ。
浅野忠信も役回りの大きさに満足しちゃったのかな、それなりに活躍するけれど、キャラが立っていないのでほとんど印象に残らない。上述の脇役の人たちもそうなんだけれど、戦わなきゃ、宇宙人だけでなく監督たちと。「ケンカの言い訳に映画を使うなら、アジアでは
ジェリー・ルイスではなく、絶対ジャッキー・チェンです。」とか言って「酔拳」の構えを見せるとかさぁ、ちったぁ頑張れ。渡辺謙とか、もっと監督とやりあっていると思うんだけど。
まぁ、でもこの映画の最大の弱点は敵役・悪役が弱いこと。まず、身内に足を引っ張るキャラがいない。「ダイ・ハード」のTVリポーターとか、「2012」のロシア系金持一家とかみたいな。こういう、イラっと来るキャラクターを置かないと、サスペンスは盛り上がらないし、最後に罰が当たって「ザマーミロ」的なカタルシスも出ないですよね。
宇宙人もぶっこわす割には人を殺さないよな。見守ってばっかりで。せめてPG12星雲あたりから攻めて欲しかったですね。そうすればもう少し
ブルックリン・デッカーの肢体を拝めたかもしれないのに。
結局、5月に観た映画でいちばん満足したのは最後の「
ミッドナイト・イン・パリ」。
アレン作品、前回観たのは「ギター弾きの恋」なので…、えっ、10年以上も経っちゃったの。結構好きなつもりだったのに、なんてこったい。最近はミニシアター系でチャチャっと消えてしまうんで、しまったなぁとは思ってたんだけれど、そんなに観てないか。ショックだな。
とはいえ、内容はいつもながらのアレン節。出演者やロケーションが変わっても、いい意味で変わりませんね。リアルタイムで小津作品を観ていた人たちもこんな気持だったのかな。
それにしても、ポランスキーといいアレンといい、あんまりベテラン監督ばかりで満足するのもまずいよな。
俳優陣ではヘミングウェイ役の人がなかなかの好演だったので
IMDbを見たら、見事な化けっぷり。さすがです。
パンフレットで気になったのが、
オーウェン・ウィルソンのフィルモグラフィーにジャッキー・チェンとのコラボ作品群が無かったこと。「アルマゲドン」や「エネミーライン」あたりなら分かるけれど、この辺も黒歴史扱いだとしたら、ちょっと寂しいですね。