おことわり

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2012年2月12日日曜日

J・エドガー

「J・エドガー」の公開規模が悲しいことになっていて、HPを見ると東北、北陸、中四国は完全にオミット、九州も福岡・沖縄だけという状況。賞レースから脱落すると、ディカプリオ主演でもこうなるのね。

というわけで、車を走らせTOHOシネマズ久山へ。昔、まだ地方ではショッピングモールが珍しかった頃行ったことがありましたが、その時はヴァージンシネマズでした。入ってみるとトイレの場所とかわかりにくく、デザイン優先で機能性悪し。調べてみると1号店だったので、気負っていたのかな。ロケーションと重ねあわせると、大阪南港の公共事業の無駄使い群を思い出してしまいました。

イーストウッドは人間の孤独や悲劇、国家権力から抗えない運命みたいな話を描かせると、ちょっと物事を突き放して捉える感覚が冴えて、淡淡としたタッチが抜群の効果を上げるのですが、「インビクタス」のような友情・努力・勝利、といった少年ジャンプ的な展開を(観客も脚本家も)期待するお話ではそのタッチが完全に裏目に出て、長距離ランナーに三段跳びをやらせたような違和感が残ってしまうように思います。

その点、今回の題材は適材適所で、一時代を画したパワーエリートの功罪、光と影をことさら露悪的に描くのではなく、信条や能力が時代とそぐわなくなっていくことの厳しさ、名声と孤独の中で、決して公にできない性癖を抱えながら自己を保つことの困難さを絡めながら、ひとりの人間ドラマとして描いていて、見応えありました。キャグニーの使い方もうまい。

ただ、巷間指摘されていることでもありますが、ディカプリオやナオミ・ワッツの老けメイクはちょっと無理がありますね。観ていて思ったのですが、眼を老けさせるのは難しいのかな、と。FBI長官だから年老いても眼光は鋭かったのでしょうが、年寄りの鋭さとはちょっと違うんですよね。若い人間の眼なんだよなぁ。

それにしても、何故母親役がイギリスを体現するようなジュディ・デンチだったんだろう。親子の関係と英米の関係を暗喩している部分があるのでしょうか。わかりません。ナオミ・ワッツはオーストラリア人なので、イーストウッドが適当こいただけかもしれんけど。
トンデモも多いけれど、時折鋭いことを書く副島隆彦あたりの見解が読みたいです。

2 件のコメント:

渡辺屋 さんのコメント...

もう映画の公開規模なんて完全に崩壊してますよね。TV番組の劇場版とかは何処でも上映しますが、内容が地味だったりすると地方都市は完全シャットアウト。

シネコンが出来た時は上映作品が多くなるとさかんに宣伝してましたが、地方のシネコンに来る映画は逆に減っているんじゃないかと思うほどです。特に東北スルーの映画が多いです。東京公開から2~3ヵ月経った頃にミニシアターでひっそり上映されることもありますが・・・

日劇公開作品がスルーした時はびっくりでした。腐っても日劇、一応東宝のメイン劇場。そこでの上映作品がこちらには来ないのですから、去年の「デビル」、これは遅れてミニシアター公開でしたが、「ドライブ・アングリー」は完全スルーでした。

ブロックブッキング制が終わった時点でこうなることは確定していたのかもしれません。

映画の上映がなければチラシも手にはいりませんものね。メジャー作品のチラシが入手出来なくなるとは大阪時代には考えられなかったのではないですか?

「J・エドガー」は現時点こちらでは上映未定です。チラシは東京で入手済みですが。

紀住 圭人 さんのコメント...

渡辺屋さん、コメントありがとうございます。
自分はミニシアターの作品を熱心に追いかけるほどの映画ファンではなく、ネットや雑誌で評判を読んで、「ちょっと面白そう」と思ったら行ってみるという程度の、ごくごく普通の映画ファンだと思っているのですが、地方では普通でいるのも至難の業ですね。
市内にシネコンは4件ありますが、シネプレックスがたまに他がやらないもの(「ハンナ」や「ブルーバレンタイン」はここで観た)をかける以外は、どこも同じメニューばかりでげんなりします。
地方暮らしが長いので、マイナー系のチラシが手に入らないのは日常茶飯事ですが、メジャーでもこうなると辛いです。福岡(博多)のシネコンあたりだと、まだもう少し充実しているんですけどね。