11月に観た映画(後編)。
「合衆国最後の日」と「カリフォルニア・ドールズ」を観に渋谷へ遠征。渋谷で映画を観るのは今世紀になって初めてかな(多分その前は「ワイルドバンチ」のディレクターズ・カット版)。贅沢だなと感じつつも、映画館で観る機会は自分にとって次があるとは思えないので、行っちゃいました。
ネットの情報を頼りにたどり着いたシアターN渋谷。あれ、この坂の雰囲気、覚えがあるな。ひょっとしてここは昔のユーロスペース?なにせユーロスペースで映画を観たのは学生時代に「ゆきゆきて、神軍」に行ったきり。あの時はまだスクリーンがひとつだったような。えぇっと、左に曲がると確か「チネアルテ」が…。あら、無い。ヤフオクで出しているのであるもんだと思っていたら、実店舗はとうに閉まっておられたようで、浦島太郎気分で館内へ。
まずはモーニング・ショーの「合衆国最後の日」。ミサイル人質のサスペンス映画で、今だったらTVシリーズのパイロット版の前半1時間でまとめさせられそうなお話ですが、それはそれ、キッチリした出演者とガッチリした演出で作られてます(←説明になってねぇな、おい)ので、面白く観ることができました。最近のこの種の作品の傾向である無理やりなドンデン返しや細かいカット割がないのが気持ち良く、それぞれの役回り、人間同士がぶつかり合うドラマがじっくり味わえるのがいいですね。特にチャールズ・ダーニングは、「スティング」や「狼たちの午後」くらいしか知らなかったので、ランカスターやウイドマークに囲まれての大統領役なんて存在感が無いんじゃないか…と観る前は勝手に思い込んでいたのですが、堂々たる演じっぷりで、いやぁ大変失礼いたしました。
坂を下りたファミマでファミチキとおにぎりをとりあえず腹に詰め込んで、二本目の「カリフォルニア・ドールズ」へ。
こちらは初公開の時に東劇で観たのですが、その時はまだ青臭い、頭でっかちな(今もそうか)学生クンでしたので、「あの巨匠アルドリッチの遺作で…」みたいな意識が先行して、必要以上に肩に力を入れて「鑑賞」していた記憶があります。
あれから幾星霜、ドールズ御一行さまに負けず劣らずの地方巡業のサラリーマン人生を送ることになった立場で再会したら、いやぁ面白い、何でこんなに面白いんだというくらい面白く、特にクライマックスの選手権の怒涛の展開はひたすら盛り上がりまくってしまい、まさかの半泣き状態に。
出費はかさんだけれど、やっぱり行ってよかったです。閉館は残念ですが、このような機会を与えてくださったシアターN渋谷さんに、すっかり遅くなってしまいましたが、感謝申し上げます。
4 件のコメント:
シアターNの閉館理由の一番は映画のデジタル化により将来が見えなくなったということでした。「カリフォルニア・ドールズ」はフィルム上映でしたが、デジタル上映の映画もやってました。ただシネコンなどで使っている本格的な機械ではなく、ミニシアター用の機械を使っての上映だったので将来を考えたらこのような結果になったのでしょうね。
自分はデジタル上映、3D上映が嫌いなので今は以前の半分も映画を観てません。CSに入っているので映画はいっぱいやってますしね。
フィルムにこだわって上映を終了すると宣言をしていた「午前十時の映画祭」がデジタル上映で「新・午前十時の映画祭」として復活するそうです。上映作品は以前とだぶっているのもありますが、そこまでして上映するのはなんだかな~って感じです。
新橋の二番館、新橋文化はフィルムにこだわって上映しますと宣言してますがどこまで頑張れるのだろう?
渡辺屋さん、コメントありがとうございます。
自分はデジタル上映とフィルム上映の違いについてあまりよく分っていません。大阪時代に観た「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」はデジタル上映だったと思いますが、ちょっと色の濃さが足りないのかな、という気がしました。「合衆国」もそんな印象がありました。「カリフォルニア」はニュー・プリントでしたが、時代もあってか全体的に暗い色調で、現代のデジタル放送、ブルーレイの明るい画面を見慣れた人にはちょっと辛いのかもしれないな、とも思います。
「新・午前十時」のデジタル上映は規定路線なんでしょうね。フィルム版で上映したもの
と比較する機会もあるかもしれませんが、自分にその差が分る眼力があるかは甚だアヤシイです。
「カリフォルニア~」の初公開をリアルタイムで鑑賞した世代です。同時上映は「ロッキー3」でした。女子プロレスとボクシングで盛り上がる作品のカップリングだったのを覚えています。
しかも面白いことに、「ロッキー3」「カリフォルニア~」ともバート・ヤングが出演しています。シアターNのリバイバルでも同時公開の「合衆国最後の日」に犯人グループの一人として出演していますので、何か妙な因縁めいたものを感じてしまいました。
当時知名度のあった女子プロレスのミミ萩原とジャンボ堀も懐かしかったです。初版のプログラムにはインタビューとピーター・フォークとのスリーショットの写真が掲載されていました。
初期の「ロッキー」にもあった生活感のある人間の描き方がキチンとなされていて、いま見直してみても飽きない作品でした。
じゅまんじさん、コメントありがとうございます。
「カリフォルニア~」のパンフ、自分も買いました。ミミ荻原のインタビュー、載っていましたね。あの頃の東急・松竹系のパンフレットは東宝系と比べて中身が薄いことが多かったので、「珍しく解説と物語とプロダクション・ノート以外の文章が載っているな」と思った記憶があります。
今日偶然知ったのですが、エントリーを書いたその日にチャールズ・ダーニングは亡くなられたようです。ご冥福をお祈りします。
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