70年代にリバイバルされたCIC配給バージョン 自分が持っていたのは73年版(丸の内松竹)でした。 |
西部劇で好きな作品は「ワイルドバンチ」、音楽だったら「西部悪人伝」、なもので、この映画に抱いていた「詩情」や「感動」の世界を受け入れられるか、上映前は少々不安でした。
が、実際に観てみると、開拓者の独立精神に敬意を表した勧善懲悪アクションをベースにしていて、現代の作品と比べれば展開はのんびりとしているものの、話や登場人物の骨格、演出がしっかりしているからか、よくできた物語世界に入り込むことができました。さすが、名作といわれているだけあります。古さを感じる部分もあるけれど、自分の場合、映画館の暗闇の中に身をおくと、作られた時代の観客になった気分になることがあって、この作品はそれにうまく乗れた感じ。全部の作品がそうなるわけではないので、やはり「作り」がいいからなんでしょう。
で、自分の持っていた「詩情・感動」のイメージに影響していたもののひとつがこのチラシにも使われているシェーンと少年のデザインなのですが、調べてみると、他の国ではこのシーンを使ったポスターが見あたらないのですが、これって日本だけなんでしょうかねぇ。だとすれば、考えた担当者は凄いと思います。
1975.9.20(富士映画) 銀座東急、新宿東映パラスほか |
CIC 配給版のチラシにはCICの名前が載っていません。CICは1970年7月に発足したのですが、シェーンの公開は9月12日なので、間に合わなかったのかもしれません。旧パラマウント・ユニヴァーサルからCICへの移行にあたって雇用問題も起きていたようですし。
悩ましいのが、73年2月24日にリバイバルされた時も同じものを使いまわしていること。これは気づきませんでした。さすがに配給会社もマズいと思ったのか、同じ使い回しでもこの年の7月にリバイバルされた「ボルサリーノ」の横版はCICマーク付きの修正をかけています。
東京館名の場合、東劇・上野日活オスカーなら70年版、丸の内松竹なら73年版ということになります。渋谷東急と新宿ピカデリーが両年とも公開しているのが難点ですが、前売券が70年は400円、73年が500円なので、判断材料はそこくらいかもしれません。
7 件のコメント:
「シェーン」の日本版ポスターの柄ですが、外国のロビーカードに同柄があります。それを元に作ったのではないでしょうか?
ロビーカードだと子供のシャツは赤でシェーンの服の色も日本のポスターより明るい色になっています。チラシで犬がいるのといないのがありますが、ロビーカードでは犬がいます。
こちらで持っているシェーンのチラシは丸の内松竹の館名入りと館名無しの物があるのですが、丸の内松竹のやつはFOXで買ったような気がするんですよね。館名無しがいい具合に紙が変色しているのですが、丸の内版は妙に綺麗で全然変色なしで裏も白く焼けなども全然ありません。何か後刷りっぽいです。
ずいぶんご無沙汰しております。なんとか生きておりますよ(笑)。
さて「シェーン」ですが70年版と73年版があるとは知りませんでした(今回の「シェーン」に限らずこちらのサイトではいつも目からウロコなのですが)。
自分は渋谷東急館名(オモテに「9月12日ロードショー」のスタンプ押し)のものと丸の内松竹館名のものを持っております。ただ後者はFOXで買ったものとはっきり記憶しておりまして、渡辺屋さん同様、ヤケがまったくありません。さらに渋谷東急版と比べますと、丸の内版は青色が薄く、紙質も心持ち薄い気がします。また左下と右下端になぜか白い断ち切り痕みたいなのが残っています。さすがに変だと思って、渋谷東急版は後年わざわざ買い直したのでした。この丸の内版がすべてFOXの後刷りなのかどうなのか(そもそも後刷りなのかも不明)…そこまではよくわかりませんが。
自分が他にこのチラシで気になっていたのは、右上角の「!」のあたりの、背景の青色が明らかに他の青色と違っていて不自然なんですよね。これもFOXの呪いか、と思っていたのですが、渋谷東急版も同様でした。何なんでしょ、これ?
もう一つ、どーでもいいことですが、このチラシ、オモテはシェーンと少年の別れの場面だと思うのですが、ウラを見るとその場面の続きで、遠くに後姿を見せて去っているシェーンを少年が見送っているんですよね。チラシのオモテとウラでストーリーが進行しているチラシはこれぐらいでしょうか(しかしラストシーンなんだけど…有名だからいいのかなあ)。どうも長々と失礼いたしました。
くろばくさんこんにちは。
「シェーン」のチラシの右上の色が違うのは単に何か別の物が写っていた為に修正したけど、修正がへただったというところじゃないでしょうか?
このチラシの右端中央部位にも変な色で修正入ってます。この部分はオリジナルのロビーカードを見るとHOTELの看板になってます。富士映画版チラシでは牛の横から棒が伸びて看板の「H」の文字が残ってます。
背景の山も別のロビーカードから持ってきて合成したもののようです。ただ空の部分はロビーカードには無いので何処から持ってきたか不明です。
SHANE POSTERで画像検索するとロビーカード8種類の画像が出てきますので見てみてください。
渡辺屋さん、お久しぶりです。
レスをありがとうございました。
右上の青空は手に入れた当初から、なにか気になってましてねえ。まあ、修正が下手と言ってしまえば、そうなんでしょうけど(笑)。しかしワンコをあれだけ綺麗に消し去ってしまっているのに、うーむー、です。右端中央部の看板には気がつきませんでした。確かに意識して見れば地平線のあたりの茶色が他と比べて薄いです。ともあれフォトショップなんてなかった時代にご苦労様と言ってあげたいです。
それではまた。
渡辺屋さん、くろばくさん(お元気そうで何よりです)、コメントありがとうございます。
返事が遅れてすいません。
ロビーカード…、それですね。なるほど。
初公開時のチラシにも使われている早撃ちを強調したデザインも構図として面白いですが、日本受けはしないだろうしなぁ。それにしても同じ素材を何とかして違いを作り出そうとしている努力が微笑ましくもあります。昭和のコラ職人大奮闘、ですね。
入手先の記憶は判然としないのですが、自分の持っている丸の内松竹版はくろばくさんと同じFOX購入品と同じものだと思います。自分もCICは70年だけだと思っていたのですが、allcinemaが70年ではなく73年と書いているのを見て、「またまた…」と思って調べてみたら判明した次第。紙質はこの時期のCICのものとちょっと違う気がしますが、紙質や裏の刷り色とかは自分のレベルでは確信が持てないことが多く、悩ましいところです。
貴重なご意見、情報ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
どうも チョコです。
自分も見直したところ、70年Rと思ってたのは、73年Rでした。
今まで何十年も気がつかなかっただけに、些かショックですね。
チョコさん、コメントありがとうございます。
自分も手持ちのものは70年Rと思っていました。まさか73年にCICマークが無いものを出しているとは思いませんもね。
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