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2012年6月23日土曜日

野口久光 シネマ・グラフィックス 黄金期のヨーロッパ映画ポスター展

先週末は足を伸ばして埼玉のうらわ美術館へ。24日で終了する”野口久光 シネマ・グラフィックス/黄金期のヨーロッパ映画ポスター展”に行ってきました。昨年西宮で開催された展覧会を全国で巡回しようとしているもので、年内にもう1ヶ所予定されているそうです。

内容は前年の展覧会を基に出版された同名の書籍の実物がポスター主体に展示されていました。ほかにもスケッチや雑誌の表紙、レコードジャケット等も。やっぱり立看ポスターはいいなぁ。

自分は残念ながら野口氏の全盛期以降に生まれ、むしろその後の毒々しい商業主義的な宣伝に興味を惹かれるような人間なのですが、それでもこうやってあらためてまとめて拝見しますと、独特のふくよかな人物描写や色使いが魅力的ですし、こういったポスターが街中に溶け込んでいた昭和の光景に憧憬を感じてしまいます。

ジャズ評論家としても高名な野口氏、
「KCジャズの侍たち」(1982公開)の
デザインも手がけています。
チラシ愛好者としては、野口氏の東和での仕事が当時のチラシに活かされなかったのはちょっと残念。とはいえ、これは印刷技術の問題等もあったのでしょうが、ポスターの図柄がチラシに反映されるのは60年代後半あたりからのようで、業界全体の現象なのでやむを得ないのかもしれません。ポスターはポスター、チラシはチラシで独自性があったほうが楽しいですし。現在の”本社指示直訳”みたいなポスターをそのまま縮小した奴はホント味気ないです。

「大人は判ってくれない」を監督のトリュフォーが気に入って事務所に原画を飾ったというエピソードもあるとおり、世界的な評価も高い野口久光ですが、こういった展覧会を美術館で開くのにはまだ壁は厚いようです。企画協力者のNPO法人古き良き文化を継承する会根本氏のインタビューを読むと、最初の展示会まで5年かかったそうで、この種の表現の美術的評価の「敷居の高さ」が覗われます。個人的には芸術性の高いものより、どちらかといえば俗っぽいものに関心が高いので、野口氏に限らず、もっとこの種の世界で活躍している方を美術館もとりあげて欲しいと思うのですけれど。

かくいう自分自身も、知ったのも訪問もずい分後になってしまい、紹介が終了日前日になってしまったので、反省しています。

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