内容は前年の展覧会を基に出版された同名の書籍の実物がポスター主体に展示されていました。ほかにもスケッチや雑誌の表紙、レコードジャケット等も。やっぱり立看ポスターはいいなぁ。
自分は残念ながら野口氏の全盛期以降に生まれ、むしろその後の毒々しい商業主義的な宣伝に興味を惹かれるような人間なのですが、それでもこうやってあらためてまとめて拝見しますと、独特のふくよかな人物描写や色使いが魅力的ですし、こういったポスターが街中に溶け込んでいた昭和の光景に憧憬を感じてしまいます。
ジャズ評論家としても高名な野口氏、 「KCジャズの侍たち」(1982公開)の デザインも手がけています。 |
「大人は判ってくれない」を監督のトリュフォーが気に入って事務所に原画を飾ったというエピソードもあるとおり、世界的な評価も高い野口久光ですが、こういった展覧会を美術館で開くのにはまだ壁は厚いようです。企画協力者のNPO法人古き良き文化を継承する会の根本氏のインタビューを読むと、最初の展示会まで5年かかったそうで、この種の表現の美術的評価の「敷居の高さ」が覗われます。個人的には芸術性の高いものより、どちらかといえば俗っぽいものに関心が高いので、野口氏に限らず、もっとこの種の世界で活躍している方を美術館もとりあげて欲しいと思うのですけれど。
かくいう自分自身も、知ったのも訪問もずい分後になってしまい、紹介が終了日前日になってしまったので、反省しています。
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