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2015年3月22日日曜日

2014年上半期に観た映画(リスト)


今さらながらではありますが。
昨年の下半期と同じパターン(☆20点 ★5点。旧作はなんとなく☆☆☆★★を上限)でだらだらとメモ。


1月
キャプテン・フィリップス☆☆☆★★
    P・グリーングラスはこういうタッチの方が冴えるな。

ターミネーター☆☆☆★
    音楽が80年代してるなぁ。

ロッキー☆☆☆★
    映像が70年代してるなぁ。

大脱出☆☆☆★
    いくらなんでもこのネタバレ宣伝は酷い。所長が蝶好きなのでマル。

麦子さんと☆☆★★
    故郷の描写があまりにファンタスティックでついていけず。往年の花王名人劇場を観ている感が。

スティーラーズ☆☆★★★
    V・ドノフリオ、「大脱出」で「おぉ、久しぶり!」と思ったらここでも会って、10数年ぶりに街中であった旧友に駅のホームでまた会った気分。

エンダーのゲーム☆☆☆
    どうもハリウッドのジュブナイル系作品とは相性が合わないなぁ…って観る方が歳なんだから仕方ないです。

燃えよドラゴン☆☆☆★★
    恥ずかしながら映画館では初観戦。何も言うことはありませぬ。

2月
ザ・イースト☆☆☆
    ちょっと優等生すぎて、期待したほどのものではなかった感が強い。

ウルフ・オブ・ウォールストリート☆☆☆☆
    10代に「時計じかけのオレンジ」を初めて観た時の衝撃を思い返す。若い頃だったら人生変わっちゃいそう。内心の自由を大いに満喫。

華麗なる週末☆☆☆★
          こちらを参照。

ラッシュ/プライドと友情☆☆☆★★
    今年は「ウルフ…」とこれを観ることができて大満足の一年でした。

アメリカン・ハッスル☆☆☆★
    演技合戦というより役作り大会。夜中のA・アダムスは「スペースバンパイア」のテーマが頭の中を駆け巡り、参った。

ペコロスの母に会いに行く☆☆☆★
    ひどい出来だとも思わないけれど、これがキネ旬1位というのはどうもよく分からない。選出者の高齢化?

ダラス・バイヤーズ・クラブ☆☆☆★
    映画としてはインディ感は否めない(岡山の渋谷化とか)けれど、もう、ジャレッド・レトが圧巻で必見。

3月
リーガル・マインド☆☆★★★
    興味深い題材ながら、展開も演出もこれといったものがないままだった。

ハリケーンアワー☆☆★★★
    面白いシチュエーションだったけれど、ゴールをうまく用意できなかった感が。

それでも夜は明ける☆☆☆
    えぇ、監督の名前と予告編のいかだで「パピヨン」期待した俺が悪かったんです。21世紀の19世紀って雰囲気の課題図書映画。.

ジャッカルの日☆☆☆★★
    ようやく映画館で観られてうれしい。何も言うことは(以下略

ひまわり☆☆☆★
    川喜多映画記念館で鑑賞。ひたすら涙、涙かと構えていましたが、思った以上にコミカルなシーンもあって驚き。

ハンナ・アーレント☆☆☆★
    柄にもなく、現在の社会状況と比較論考したくなる作品。主演女優のハードボイルドな雰囲気もいいが、実際近くにいたら鬱陶しいか。

MUD -マッド-☆☆☆
    マコノヒーとウィザースプーンの掛けあいを見て、「ヒート」のデ・ニーロとアル・パチの競演シーンを思い出す、性格の悪い俺。

ウォルト・ディズニーの約束☆☆☆★★
    観た時は満足していたのだけれど、その後やれ「マレフィセント」だ「イントゥ・ザ・ウッズ」だと旧作解体路線ばかり続くと複雑な気分。

4月
LIFE!/ライフ☆☆☆★
    LIFEの休刊をからめたのは上手いと思いましたが、必要以上に話を大きくし過ぎ。

ロボコップ☆☆☆
    考えて、ひねりすぎて、理には落ちてもかえって魅力が減じるという…後だしジャンケンもつらい。

ローン・サバイバー☆☆☆★
    おそらく米国民目線の映画なので、異邦人である自分には受け容れがたい箇所もありましたが、戦場の酷薄さ等、観応えありました。

あなたを抱きしめる日まで☆☆☆★★
    正直J・デンチは苦手なのですが、これは良かった。可愛かったぞ。

仁義なき戦い☆☆☆★
    どうもこの作品を観るたび、途中で写る「シャギー・ドッグ」のポスターが引っかかる。せめて封切時の「ボクはむく犬」にしてくれれば。

LEGO®ムービー☆☆☆★★
    レゴ初心者から上級者まではもちろん、株主はじめ利害関係者の皆さん、ブロックは河田だった自分まで満足させる凄い映画。

ドラゴン怒りの鉄拳☆☆☆
    ネトウヨから見たら「ブルース・リーは反日!」になるのかしらん。それにつけてもノラ・ミャオの可愛さよ。

白ゆき姫殺人事件☆☆☆
    以前観た「ゴールデンスランバー」もそうだったのだけど、どうもTV局内部の描写にリアリティを感じない。説明過多の台詞にも閉口。

5月
ルパン三世 カリオストロの城☆☆☆★
    さすがに絵の動きには古さを感じざるを得ないが、面白さは相変わらず。

ブルージャスミン☆☆☆★★
    マイナーリーグで長らく調整していたピッチャーが、久々のメジャーのマウンドでいきなり剛速球を投げた感。

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜☆☆☆★
    主題歌を誰にするかはこのCMで決めたんだろうなぁ…と思うとつい顔がほころぶ。伊藤英明の登場シーンも最高。

あなただけ今晩は☆☆☆★
    ちょっとくどい感じはあるものの、面白さは相変わらず。

8月の家族たち☆☆☆★
    もう少し舞台劇そのものの情報を知っておけばより楽しめたかな。パンフは物足りない.。

新しき世界☆☆☆
    設定を欲張りすぎて、説得力が薄れ、「インファナル・アフェア」には遠く及ばず。

ポリス・ストーリー/香港国際警察☆☆☆
    スタッフのクレジットに馬飼野康二の名前が。それにつけても画質のひどさよ。

6月
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌☆☆☆★
    今ひとつ苦手なコーエン兄弟でしたが、これは楽しめました。

ゴジラ☆☆☆★
    第1作。河内桃子のふくよかさにしても、追悼を歌う女学生たちにしても、時代の変化を実感。

グランド・ブダペスト・ホテル☆☆☆★
    そのおしゃれな感じにどうも食わず嫌いだったW・アンダーソン監督でしたが、行ってみたらさすがに良かったです。

羅生門☆☆☆★
    音楽がどうも「ファム・ファタール」(坂本龍一)を彷彿させるなぁ。影響あったのか。

ハミングバード☆☆☆★
    すごく良くできた、ってことではない(特にオチの展開)ものの、登場人物の描写に味わいがあり、魅力的な作品に仕上がっていました。

ある過去の行方☆☆☆
    展開は相変わらず上手いのですが、「別離」に比べると妙に演出めいたこと(昔の営業手法みたいな)をやっていてがっかり。


死亡遊戯☆☆★★★
    今の眼で見るとさすがに代役シーンはかなりツラい。それにつけても画質のひどさよ。

X-MEN:フューチャー&パスト☆☆☆
    やはりM・ヴォーンで観たかったなぁ。それにしてもなんでこう皆さん、中国中国なんですかね。

トランセンデンス☆☆★★
    観る前から微妙な予感はしていたが、やはり、という結果に。

her/世界でひとつの彼女☆☆☆★
    「トランセンデンス」の後だと何を観ても傑作に観てしまうのかもしれないが、こちらはアイデアをいろいろ詰め込んでいて面白かったです。

う~む、やっぱり1年経つと忘れてしまうな。続きはまたあらためて。

2014年3月16日日曜日

華麗なる週末/クリスマス・ツリー

相変わらずのご無沙汰です。

まずは追記情報。チョコさんのブログの情報により、007のセットチラシのエントリーの資料室で記した「死ぬのは奴らだ」の「ユナイトマーク抜き」版が「ムーンレイカー」公開時に中日シネラマ劇場で配布されたものと判明しました。「ウエストサイド物語」の1973年リバイバル版(デザインは1972年版と同じ)入手と合わせ、追記しております。チョコさん、遅くなってしまい申し訳ありませんが、いつも情報感謝です。

さて、こちらも先月の話で恐縮ですが、偶然に偶然が重なって、東京で「華麗なる週末」を観ました。フィルムセンターの企画上映で、「ロイ・ビーン」含めて気にはなっていたものの、距離とスケジュールであきらめていたのですが、帰省帰りの有休にピタッとはまる僥倖。

いやぁ、よかった。フィルムセンターで映画を観るのは初めてだったのですが、画面の大きさと客席からの角度が昔の文芸座を思い出させ、テクニカラーの色調も相まって、すっかり名画座気分。正直なところフィルムとデジタルの違いが分かるような眼力はないのですが、この色合いは「フィルム~」って感じで、眼福眼福。作品もノスタルジックで、脇に回ったマックィーンも好演。しかしこの時期のマックィーン氏、「ブリット」にこれに、「栄光のル・マン/ライダー」と、自前のプロダクション使って乗り物愛全開ですな。

画像のチラシは「クリスマス・ツリー」との二本立てのもの。両作品は1969年12月に封切られ、東京や大阪ではそれぞれ単独に公開されていますが、名古屋(上)では二本立て上映。東京(下)でも翌年3月にTYチェーンで二本立て公開されていますが、チラシ中央の帯のコピーが修正されています。ここまで手を入れているケースは珍しいかも。

フィルムセンターの話が出たので、「モダン・タイムス(72R)」のコメント欄でじゅまんじさんからも情報提供いただいている企画展のお知らせも。

「赤松陽構造と映画タイトルデザインの世界」と題し、永年日本映画のタイトルデザインを手がけた第一人者である赤松氏の作品を中心に日本映画のタイトルデザインの歴史もからめて展示していくようです(4月15日~8月10日)。

チラシの「アントキノイノチ」「ウォーターボーイズ」を見てお気づきのとおり、広告の題字デザインではなく、映画本編のタイトルデザインについての企画展ですが、興味を惹かれる内容で、イベントも土曜に3回ほどあるようなので、こちらもできれば1回は足を運びたいなぁ、と思っております。

2014年1月18日土曜日

2013年下半期に観た映画(リスト)

越年したので長い感想はギブアップ。
採点をするほどの能力もないですが、印象点を双葉十三郎先生の「ぼくの採点表」の要領で。
旧作はなんとなく☆☆☆★★を上限にしてみた。

☆20点 ★5点。

☆☆☆☆以上……ダンゼン優秀

☆☆☆★★★……上出来の部類

☆☆☆★★
☆☆☆★………見ておいていい作品

☆☆☆…………まァ水準程度

☆☆★★★………水準以下だが多少の興味あり

☆☆★★以下……篤志家だけどうぞ


7月 
サイコ☆☆☆★★
    この時代のモーテルはテレビもなかったのね。最後に「ブリット」のあの方が出てきて嬉しい。

舟を編む☆☆☆★
    好きな話だけど、ここまで大作にする必要があるのかな。サクっと見せて欲しかった。

8月 
終戦のエンペラー☆☆☆
    日本の描写に妙な点が無いのはホッとするけれど、あちこちに気配りしすぎて、肝心の中身が魅力薄。


恐怖と欲望☆☆★★★
    アート志向の「コンバット」。

ペーパーボーイ 真夏の引力☆☆☆★★
    真夏に目の前で鉄板ホルモン焼きを水無しでドサッと出された気分。
    CMで食べている日本とは違って、本業で稼いでいる向こうの俳優は冒険ができるなぁ。

パシフィック・リム☆☆☆★
    「真夜中のカーボーイ」でウルトラマンの怪獣を見つけた時のような嬉しさはありましたが、期待値が高すぎた。

エンド・オブ・ウォッチ☆☆☆★★
    警官の会話がいかにもありそうで面白い。野郎としてはゴスリングよりギレンホールの方が好きです。

ローン・レンジャー☆☆☆★
    序盤の銃撃戦で賛美歌「まもなくかなたの」が流れ、クレージー・リー(ボー・ホプキンス)もどきのキャラクターが出てきた時点で合格!
    後は知らない、二人は若い♪

9月 
プリティ・ウーマン☆☆☆
    カーナビが無かったから二人は出会えたんだな。くろばくさんの名言「便利な時代になって、映画は不便になった。」を思い出す。

サイド・エフェクト☆☆☆
    ソダーバーグ最後の映画、ってのが売りでしたが、巨悪を暴くような話ではなく、がっかり。
    県内で(多分)かからなかった前後の2作(マジック・マイク、恋するリベラーチェ)の方が評判いいみたいで、さらにがっかり。

マン・オブ・スティール☆☆☆
    ノーラン+スナイダーなので、方向性は判っていたけれど…人助けより正義のための戦いが大事なんですな。
    「弾丸よりも速く」ばかりで、「機関車より強く」が感じられなかったのも残念。

反撥☆☆☆★
袋小路☆☆☆
    県外遠征でようやく観ることができたのは嬉しかったのですが、どっちにするか迷った「セデック・バレ」を切ったのもかなり後悔。
    それにしても1965年のお盆に日比谷映画が「反撥」をかけていたというのも凄い話だ。

ホワイトハウス・ダウン☆☆☆★
    安定のエメリッヒ調を楽しみましたが、スケールもダウンですな。

リオ・ブラボー☆☆☆
    これを楽しめなかったのが、今年最大のショック。
    ところどころよくても、いかんせんテンポが。これなら「真昼の決闘」の方が(以下自粛

10月 
ウルヴァリン SAMURAI☆☆★★★
    観ていたプリクェルの続編と思ったら、1しか観ていないシリーズの後日談だった…
    外人は浅草が好きだなぁ。

欲望のバージニア☆☆☆★★
    こういう題材は好きなので、つい点数が甘くなってるかも。
    それにしても最近のシャイア・ラブーフは狂言回しみたいな役ばかりだな。

クロニクル☆☆☆★★
    短い時間にアイデアを詰め込み、快調快調。
    ハリウッドは層が厚いなぁ。主演が前日観た「欲望のバージニア」にも出ていたのはあとで気付いたけれど。

ランナウェイ/逃亡者☆☆☆★★
    レッドフォードの次世代への伝言、同世代への鎮魂歌とでもいう内容。
    後は任せた、とでも言われたようなシャイア・ラブーフは(以下同文

パッション☆☆☆★
    スプリットスクリーンが始まるや、「ファム・ファタール」を観て浮かんだ「踏まれても、ついて行きます下駄の雪」の言葉が頭をよぎる。
    下半期でいちばん面白かった。えっ、その割に点数が低い?(夜回り先生風に)いいんだよ…
    「二郎はラーメンではなく二郎という食べ物である」のと同様、「デ・パルマは劇映画ではなく、デ・パルマという映画である」のだ、たぶん。

トランス☆☆☆
    出だしは快調、後半グダグダっていうだけなら「パッション」も同じなんだけれどね。
    警察、仕事しなさすぎでしょ。

ダイアナ☆☆☆
    これも「終戦のエンペラー」同様、あちこちに気を配って…という感じ。
    ナオミ・ワッツはダイアローグは知る由も無いですが、動作とかは上手く似せていたと思います。

カッコーの巣の上で☆☆☆★★
    この年齢で観ると、つい病院側にも肩入れしてしまうな。ルイーズ・フレッチャー最高。 「半澤よ、これが顔芸だ。」といいたくなる。

エリジウム☆☆☆★
    前作より垢抜けた分、フツーの作品に。アメリカって「金も稼げないのになんで長生きしたいの?」って素で思っている人が多いんだろうな。

11月
42~世界を変えた男~☆☆☆★
    良くも悪くも小学校の図書館に置いてありそうな伝記物語っぽい。プラグマティズムが差別の壁を越えた、という視点が面白かった。
    でも、その影の部分が「エリジウム」の格差社会を全否定はしない、というスタンスという気も。

グランド・イリュージョン☆☆☆
    ひたすら展開を楽しんで、観終わったらパッと忘れる…という、映画自体がイリュージョンでした。オチから考えればあり得んオハナシ。

2ガンズ☆☆☆★
    マンガみたいだな、と思ったら、本当に原作がグラフィック・ノベルなんだそうで。

風立ちぬ☆☆☆★★
    宮崎監督の心境映画なのでしょうが、実写で観たいお話。飛行機だけでなく、乗物全般のこだわりが半端ない。
    「創造的人生の持ち時間は10年だ。」という台詞があったけれど、宮崎監督自身にとってはどの時期だったのだろう。

悪の法則☆☆☆★
    内容を把握したとはとてもいえないけれど、後を引く味がありました。マックィーンが一瞬出てくる(そういう店があるとか)のも個人的にマル。
    ハビエル・パルデムの「カァウ~ンセラァァァ」と呼ぶ声が戦争映画の「衛生兵!」になんか似てるな。キャメロン・ディアズも気に入りました。
    
暗くなるまでこの恋を☆☆☆
    映画に詳しければまた違った見方があるのでしょうが、自分にはほぼ観光サスペンス。

恋のマノン☆☆★★
    原題がMANON70で1971年公開だけれど、本国公開は1968年。入荷が遅れたのも察せる出来映え。ドヌーブ嬢の美しさをひたすら堪能。

フォレスト・ガンプ 一期一会☆☆☆★★
    公開当時は合成技術が話題になったが、その技術がすっかり行き渡った現在になって観ても、作品のクオリティが揺らがないのはさすが。

用心棒☆☆☆★★
    人質交換のシーンの音楽がどっかで聴いたことがあるな、あ、あれだ!と思い出した途端、ホルホルして映画に集中できず参った。

12月
皇帝のいない八月☆☆☆
    カサンドラ・クロスをやりたかったのかもしれませんが、いくらなんでもクーデターに列車ジャックはムリ。他の部隊と連動してないし。
    山本圭が渡瀬恒彦に迫力負けしているように感じるのは現代の眼で観ているからなのか。

  「用心棒」と「皇帝」は地元の映画祭で観たのですが、ゲストの樋口真嗣監督が「皇帝」のFM音声による同時解説(初見なので聞くのは遠慮)をつとめていて、上映終了後の挨拶で「今は題名を言えませんが、週明けくらいに新作の発表があります。本屋の平積みに『こんなところに名前が』と思うはず。」と話していて、なんだろうと思ったら、「進撃の巨人」だった…

ゼロ・グラビティ☆☆☆★★★
    例によって車を飛ばしてIMAX3Dへ。迫真的な(って、行ったことないけれど)宇宙空間を体験。いろんな意味で完成度が高い。
    ただ、散々楽しんでおいてこんなこと言うのもなんですが、上手くまとまりすぎていてどこか居心地の悪さを感じたのも正直な実感。
    真っ当な批判には耐えられそうもない「風立ちぬ」「パッション」の方が、欠点すら愛おしいところがあるんだよなぁ。
    作り手の顔が見えない感じがするのはこの監督の過去作(「トゥモロー・ワールド」等)を見逃している自分の責任が大なのでしょうが。

メリー・ポピンズ☆☆☆★★
    技術は時代に勝てなくても、その表現に挑む志は輝き続けるし、音楽や踊り、役者たちの動き、表情の素晴らしさは不滅だな、としみじみ。
    ライアン二等兵に続いてミスター・バンクスを救いに行くトム・ハンクスの活躍が楽しみです。

2013年12月25日水曜日

6月に観た映画

やっぱり年内に追いつくのはムリでしたが、それでもしつこく。

午前十時で「慕情」。冒頭の空撮からしてシネマスコープの魅力満開。観光映画の色彩が強いメロメロのメロドラマで、中国に関する描写は時代を感じさせるし、ややご都合主義的な展開もあるけれど、ジェニファー・ジョーンズの名演で一気に見せます。

W・ホールデンが「ここ(香港)は考えるのではなく感じる所だ。」みたいな台詞を喋っていて、字幕のせいかも知れないけれど、つい「燃えよドラゴン」の元ネタかな、と思ったり。

「シュガーマン 奇跡に愛された男」。地元アメリカでは全くの泣かず飛ばずだったシンガーソングライターの残したレコードが、本人の知らぬうちに流れ流れて南アフリカで大評判、反アパルトヘイトの象徴になっていた、という嘘のような本当のお話のドキュメンタリー。題材はかなり面白いのですが、記録映画にするにはちょっと時機を逸した感もあり、ドラマ化した方が良かったのかも、という気が。

主人公のシンガーが黒人ではなかったことが、当局の規制をすり抜け、南ア国内の反アパルトヘイト支持の学生たち(白人)から広まるという展開を生んだとのことでしたが、それを観ていて思い出したのが、かつてフィルムセンターのギャラリートークで聞いた元ヘラルドの坂上直行氏の「『小さな恋のメロディ』は南アフリカでもヒットした。」という発言。あの作品も確かキャストは全員白人だったはずで、内容は反体制を醸し出しているし、製作時期(1971年)も近いので、似た因子を持っていたのかなぁ、と感じました。

「グランド・マスター」。ありゃぁ、これはすっかり忘却の彼方、今となってはほとんど覚えておりませんな。

冒頭の雨中の拳闘シーンとかは色調は美しかったけれど、クローズアップが多すぎて、今ひとつ何しているんだかわからないって感じ。お話そのものもグダグダで、史実(登場人物の基礎知識)を知らないと意味不明のエピソード(床屋のシーン)もあったりして、映像の美しさには眼を見張るものの、それだけではなぁ。キャラクターは立ってても、それ以上の踏み込みがなかったような印象が残っております。日本は悪役ではありますが、案外控えめな描写。

ちなみに自分はウォン・カーウァイは初見であります。

「オブリビオン」。この後に観た「エリジウム」もそうなんだけれど、作り手は未来社会のヴィジョンを手間暇かけてきっちりと構築して見せてくれるのに、観客である自分の琴線にはどうも響かないのが、我ながらもどかしい。

CGに麻痺しちゃって贅沢病にかかっているのだろう。好みの設定、世界観、ストーリーなのに、既視感の囚人と化してしまい、面白がれない自分が面白くないという無限ループの2時間。「ワンダー」が足りない、と批判することもできるんだろうけれど、それだけではない気もしました。リバイバルで観た「2001年」のスリットスキャンに圧倒された10代の感受性はもう戻らないんだな。

チラシはトム・クルーズ単独主演作にしてはいつもの顔のアップではなく、彼のハリウッドでのポジションも少しづつ変化している予感。


「スプリング・ブレイカーズ」。宣伝のビジュアルから「ワイルドシングス」ぽい、ティーンの犯罪映画を(エロ含みで)期待したのですが、「ワイルド」と比べるとかなり青春モノ寄りで、物語もひねりがなく、やや肩透かし。

青春モノとしてはスプリングブレイクの乱痴気騒ぎのショットとかいい雰囲気だし、少女たちが切なさを吐露する部分もいいといえばいいのですが、どうも中盤からの櫛の歯が欠けていく展開が、何の工夫もないというか、適当というか…ラジオの深夜番組で「○○放送(←地方局名)をお聴きの方はこの時間まで」といわれているような感覚。まぁいずれにせよブリトニー・スピアーズあたりをネタに使っている時点で、自分のようなオッサンは判ったふりしちゃいけませんな。オッパイに釣られて失敗、の一席。

「リアル~完全なる首長竜の日~」。黒沢清監督は昔DVDで観た「回路」がどうにも難解で、以来何となく敬遠していたのですが、メジャーなキャストとSFっぽい掴みに引かれて行ってみた。

う~ん、個人的には「ブレインストーム」的な展開を期待していたのですが、どうも出だしから雰囲気が変で、案の定の♪心の旅がはじまるぅ~な流れに、テンション急降下。好きな人にはたまらないのでしょうが、どうもこの手は苦手でして。ひたすらどんより。主演の二人も頑張っているんですが。

最後に使われるCGも、それまでの異世界演出に合わせた色調、といえるのかもしれないけれど、ちょっとなぁ。

「炎のランナー」。初公開の時、テレビの映画紹介コーナーの映像(競技中に転倒するシーン)を観ただけで、なぜか涙が出たという、後にも先にもない不思議な経験をした作品。

30年ぶりの再会でしたが、もともとが昔の話のうえ、奇をてらった演出もないことから、さしたる違和感もなく楽しみました。音楽は当時は斬新だったかも知れないけれど、もはや古典だもんなぁ。画質もデジタル臭をあまり感じず、満足満足。

この年齢になって観返すと、スポーツ映画としての美しさだけではなく、イギリスの階級社会の悪弊、アマチュアリズム、さらにはハリウッドにおけるユダヤ系の影響力の強さ等々、思いをめぐらす点が多々あって、より一層味わい深い2時間でありました。やっぱオリンピックは欧州のものだよなぁ。

「炎のランナー」で20年代づいたのか、空いた時間に「華麗なるギャツビー」へ。原作もレッドフォード版も押さえてないのに我ながら無謀だな。

バズ・ラーマン監督は今まで一本も観ていないのですが、昔「ムーラン・ルージュ」の予告で驚かされた派手な演出が、この作品のパーティのシーンでも繰り返されていて、それなりに面白かったのですが、ドラマ部分になると、どうも今ひとつ。特にクライマックスのプラザホテルのシーンは物足りなかったです。デイジーの夫役がちょっと弱かったかなぁ。ネットを見ると、当初はベン・アフレックやブラッドリー・クーパーの名前が挙がっていたようですが、その辺だったら見応えあったのかも。

それにしても、ジェイソン・クラーク、今年はよく見かけたなぁ。

2013年11月30日土曜日

5月に観た映画

しつこく感想の続きをば。

「ラストスタンド」。「ダイハード」の10作目あたりがこうなりそう、みたいなお話で、コンパクトにまとめられた肩の凝らないアクション篇。婆さんがヘルプするシーンとかを観ると、もうちょっと住民たちの活躍があってもいいのかな、とも思いましたが、敵方にとっては主人公の住む街は単なる通過点だもんな。「悪党vs住民」の広がりにはならないか。

シュワルツェネッガーはもともと芝居が上手い人ではないので、台詞回しとかはちょっとツラい感じがしましたが、最後の格闘で体を張った大奮闘をみせてくれて嬉しかったです。興行的にはかつての勢いは望めないのでしょうが、これからも元気な姿を見せて欲しいもの(ヴァンダムもボルボのCMで頑張ってるしね)。
「L.A.ギャングストーリー」。う~ん、これだけ硬派なメンツが揃っていて、やっていることが「J.エドガー」劇中のFBIを礼賛したテレビドラマみたいなノリになっちゃっているのはどうしてなんですかね。画面の色使いが「ディック・トレーシー」あたりを意識しているのかな、とも思いましたので、コミックか何かの雰囲気を狙ったのかもしれませんが、「L.A.コンフィデンシャル」に魅せられた自分としては、お子様向けの安っぽさにしか感じられず、どうも納得できません。

それにしても「ギャングストーリー」って邦題はねぇだろ。これじゃギャングが主役じゃん。原題のsquadはどこに消えた?チラシもHPも原題の表示がないなんて、昔の東宝東和みたいで、変な意味で嬉しくもありますが…
ワーナーは「ゼロ・グラヴィティ」の2種類目のチラシがマークどころか社名すら載せていないし、何を考えているのかな(無印良品ですか?)。
「レイダース/失われたアーク」。この辺はかつて廉価版のビデオを繰返し観ていたので、懐かしさとか新発見とかはないのですが、大きな画面といい音響で観ることができるのはやっぱりありがたいです。これでしょっぱなの岩の玉が支柱つきのオリジナルだったらいうことないのですが、それは無理ですね。

観ながらずっと考えていたのは、何だかんだいってこの時代はまだまだアナログだったんだなぁ、ということ。4作目とかはすっかりCG大会で、画面は派手だけれど、「はいはい。凄いですねぇ(棒)」と、嫌な客になってしまったのですが、1作目の車の追跡シーンは「そういやインディを殴るオッサン、スタントマンが直にやったんだったけか(記憶違いかも)」とか考えつつも「お、スゲェ」と身を乗り出して観てしまいます。公開当時は、アーク開封の特撮ばかり「凄い凄い」と思っていたのに、変われば変わるものだ。
「リンカーン」。ダニエル・デイ=ルイス、3度目のオスカー、って一人でそんなに貰っていいの?こりゃ生涯ふたケタ受賞あるで、と少々斜に構えて出かけましたが、そんな意地悪な見方を吹っ飛ばす熱演で、失礼いたしました。別に本人が猟賞活動している訳じゃないし。でも、最近「REDリターンズ」の予告編を観る度にマルコヴィッチが1回も貰えていないという不条理を感じるので、まぁいろいろと難しいですね。

本編ですが、生涯を俯瞰する伝記的なものではなく、奴隷解放に関する法案の審議・採決に的を絞った構成で、最近のアメリカ議会のねじれ現象も彷彿させて興味深く、非常に面白く観ることができました。陳情を受ける大統領の姿は「ゴッドファーザー」冒頭のマーロン・ブランドみたいで、ロビー社会ですなぁ。「政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、堅い板に力をこめて、ゆっくりと穴を開けていくような仕事です。」という言葉を思い出した一編。

中二病を発症して数十年、日本映画の食わず嫌い(特に情緒的な作品)を続けてきましたが、寄る年波による心境の変化か、木下恵介生誕100年を記念した上映を当地のMOVIXでもやっていたので、時間が合った作品を2本ほど。

「二十四の瞳」は終わってみれば2時間半の大作だったのですが、構成がしっかりしているのか、少しも飽きさせることのない、見応えのあるドラマでした。戦後10年も経たない製作ということもあってか、「戦争はもう懲り懲り」というスタッフ・キャストの感情が生々しく伝わってきて、昨今の教科書的な、あるいは政治的な意図が見え隠れする作品とは別物ですね。
「楢山節考」は実験色の強い作品で、今の眼から観ると、逆に古臭さを感じなくもない点もあるのですが、セットの懲り方も半端なく、日本映画の黄金期の力強さが伝わってきます。作品のテーマが当時の自分の心境と重なる、という個人的な事情もあったので、感慨深い鑑賞でありました。

と、いうことで、もう少し日本映画も、特に古いのは観ておきたいなぁ、と思うのですが、機会はなかなかないですね。新作は…というと、予告編を観る限り、映画より「日本映画ダメ絶対bot」の方が面白く思えてしまうのが困ったものです。

2013年11月17日日曜日

4月に観た映画

とうとう半年以上遅れてしまいましたが、年内には追いつきたく、メモ。

デジタル上映となった「午前十時」ですが、当地のシネコンでは小さいスクリーンに押し込まれ、せっかくのシネスコ作品も上下に黒味が残るレターボックス上映、と雰囲気がないことこの上ない。「タワーリング・インフェルノ」は画質もプロジェクター投影感(←うまく表現できませんが)があって、見始めは違和感があったのですが、話が進むにつれてそれもあまり気にならなくなり、あっという間の165分。今どきのハリウッドでは高層ビル一棟が燃えたくらいじゃ商売にならないのでしょうが、CG描くより人間描けよな、とあらためて思わされました。

マックィーンの後にドン・ゴードンの姿を見つけ、舞台はシスコでロバート・ボーンも…と、ブリット色濃厚で、マックィーンの力の入れ方はタイトル順だけではなかったのだなぁ、と感心。
「ザ・マスター」。ポール・トーマス・アンダーソンは昔DVDで観た「ブギーナイツ」の良さがイマイチ分らず、その後縁遠くなっていたのですが、サイエントロジーを題材にしている、というのに惹かれて興味本位でチャレンジ。

とはいうものの、こちらの期待ははぐらかされ、新興宗教の教義やありよう等は焦点ではなく、主人公(ホアキン・フェニックス)と周囲の人々との関わり様、感情の機微をまるでジャズのアドリブのように演者にセッションさせ、それをカメラに焼き付けました…という体裁。ホアキンの演技は熱演というより「この人大丈夫か」と痛ましさを感じるほどで、余裕が感じられないのが観ている側として辛かった。

65mmによる撮影は美しく、特に海のシーンには魅入られましたが、テーマを自分自身の意識・知識・感情とうまく重ねることができなかったこともあり、その日の天気(大雨)同様、どよーんとした重い気持ちだけが残ることになってしまいました。

ネットや雑誌等を見て、「観ようかな」と思った映画がこちらでかかるかというと、そうではなく、後になってから映画サイトや作品のHPで、すでに周囲50km圏外で上映中と知り、あわてて出かけることも多い。「キャビン」もそんな一編で、片道の移動時間が本編より長くなってしまった。

そうまでして出かけた甲斐があったかといえば、「ちょっと面白い」以上のものではなく、ツマらなくはないが、ここまで手間ひまかけて観る価値のあるものとも思えないのが、決して熱心な映画ファン(ホラー関係は特に)とはいえない自分にはツライところです。コスパみたいなことは考えたくないし、「DVDで充分」とも言いたくないんだけれど。

映画の世界観に少し得心が行かなかったのですが、くろばくさんの批評を読んでスッキリしました。感謝です。

そんなこんなで4月に観た4本のうち新作3本は県外に出かける羽目に。自分程度のレベルではそんなにマニアックなチョイスはできないし、していないと思うんだけれど、これが現実。

「アンナ・カレーニナ」も終わるかも…と思って隣県のシネコンに駆け込んだのですが、これは少したって市内でも上映。作品のHPも追加上映はしっかりアナウンスされないこともままあって、こういうのがいちばんショック。

「エンド・オブ・ザ・ワールド」が気に入ったし、Wikipediaの肖像画が結構キーラさんでもいけそうな感じがしたので、文芸作品にもかかわらずトライしてみたのですが… やっぱりキーラさんはロシアって感じはしませんね。

とはいえ、ジュード・ロウはなかなか巧く演じていたし、舞台装置の移動を模した場面転換等、現代的なテンポで進むので、文芸作品というよりエンタテインメントとして、気楽に観ることができました。

2013年8月10日土曜日

3月に観た映画(後編)

周回遅れがヒドくなる一方ですが、備忘録、備忘録。

「エンド・オブ・ザ・ワールド」。久々にキーラさんが観たいなぁ、と思って出かけたのですが、これは行ってよかった。

監督さんは30代の方なのに、何だこの選曲センス。タイトルから「17歳のカルテ」で印象的な使われ方をした、スキータ・デイヴィスの歌でも使っているのかと思いきや、さにあらず。冒頭のビーチ・ボーイズの「素敵じゃないか」の皮肉いっぱいな使い方(しかも後でパンフを読んだら本当のスティーヴ・カレルの奥さんが演じている)でのせられ、大滝詠一の元ネタである、ウォーカー・ブラザース、で、極めつけはハープ・アルバートの「ジス・ガイ」と来たもんだ。この曲大好きで、昔よく聴いたなぁ…すっかり別人になったウィリアム・ピーターセンの客演も嬉しかったです。

レコードの音の厚みのよさをしみじみと語る映画をブルーレイ上映で鑑賞するのはちょっと残念ではありますが、昭和のSF少女マンガを思わせるストーリーも心地よく、すっかりゴキゲンな気分で映画館を後にしました。地球が滅ぶ話ですが。

「クラウドアトラス」。トム・ハンクスとハル・ベリー主演、と聞くと、普段ならつい敬遠してしまうのですが、六重構造のストーリーってヤツに惹かれてチャレンジ。

何といいますか、六色の割子蕎麦を食べているような映画でして、それぞれの蕎麦に違う味付けをしているものの、一皿としては足りないし、全体としては似た印象で、満足感もあまりなかったなぁ、と。エンディング・クレジットのひとり6役のネタばらしは面白いけれど、役の割り当てに意味があったとも思えないのがつらいところ。

それでも「ジャンゴ」より退屈せずに長時間を観通せたのは、よくも悪くもウォシャウスキー監督の「軽さ」があってのような気がします。この手の題材を、日頃縁遠い「巨匠・異才」の監督さんが仕上げていたら、評論家絶賛の傑作になるのでしょうが、果して自分が観通せる作品になったかどうか。

「劇場版 魔法少女まどかマギカ」。この種のアニメはまったく知識がないのですが、ネットで評判を知って、前後編のイッキ観に挑戦。

合計4時間近くですが、一話20分×全12話と考えると、総集編というより繋ぎ目なしのリミックス一挙上映会なのかも。一本の作品として構成を大きく手直しをせずに、エピソード順に淡淡と話が進む感じの展開。

お話は「ポストモダンやねぇ(←意味不明)」.という感じで、若ければ、ひょっとするとハマってしまうのかもしれない内容でしたが、アニメ特有(?)のお約束演出(キャラクターや背景設定の造形)に不慣れなオッサンにとってはギャップは否めず、社会科見学しているような感覚からは抜け出せませんでした。後半の時間SF調はなかなか魅力的なんだけど、その理屈を支えるのが「魔法」だもんなぁ。

「フライト」。どうも最近のハリウッド作品は、SFX工房(という言葉も死語かもしれませんが)のプレゼンかよ、と思うような派手なCG・合成演出に逆にシラけてしまうのですが、さすがにゼメキスのような百戦錬磨の方だと、さじ加減を心得ている感じで、デンゼル機長の離れ業飛行(とその後)の見せ方とかは上手いなぁ、という言葉しか出てきません。

久々にその手の特撮とドラマをきちんと融合させたハリウッド大作を観た、という満足感を味わいました。この作品や5月に観た「リンカーン」と比べると、「アルゴ」はヒヨっこだよなぁ。

事件の真相を描ききっていないという批判もありますが、自分はデンゼル・ワシントン演ずる機長の深層心理を中心に映画を観ていたので、割と後半の展開にもすんなり納得できました。まぁ、あの宣伝文句だと、白黒つけろよ、という意見もわかりますが。ただ、宗教面でも深い解釈ができそうな演出がされていましたが、その辺はちょっとわからないです。

同僚の子持ちのCAの女優さん、どっかで観たことあるな、と思って後で調べたら、「ディアボロス」の悪魔の弁護士ビルの奥様連中のお一人でした。

2013年7月9日火曜日

3月に観た映画(前編)

ぼやぼやしていると、何を観たかも忘れそうなのでメモ。

「世界にひとつのプレイブック」。「これが亀田家を舞台にしていたものなら感動したのか?」と自問自答しつつも気に入った「ザ・ファイター」の次がこれだと、どうも「グッドフェローズ」の後の「カジノ」というか、焼き直し感が拭えません。同じテーマを追求し続ける作家ということなのか。

終盤のダンス・コンテストは、前作のボクシングに比べると、目指すのが「及第点」という微妙な線で、観る側としてはポイントが掴めず、それを補うために用意した(?)「コンテストにちゃんと出場するのか」というスリルも、主人公のトラウマ歌曲「マイ・シェリー・アモール」と同様、中途半端。家族劇という面では、デ・ニーロがデ・ニーロにしか見えず、家族という感じがしなかったしなぁ。

エンディングの鮮やかさは見事だけれど、全体的には世間の評判ほどとは思えませんでした。「薬を飲むと太る」とか、個人的にグサッと来る台詞・描写もいくつかあったのですが。

「ダイ・ハード ラスト・デイ」。ビル→空港→街→全米、とスケールのインフレが続き、さすがに次は宇宙じゃねぇよな、と思ったら、海外という穏当な展開。

とはいえ海外に「出かける」となると、このシリーズの魅力である「主人公が運悪く陰謀に『巻き込まれる』(ついでに陰謀を謀る方も想定外の存在である主人公に邪魔されて狼狽する)」というパターンにならなくなってしまうのは致し方ないところ。

主人公、妻、助っ人の警官が事件によって本来の自分(と書くとクサいけれど)を取り戻すサブストーリーが第1作を傑作にしたと思っている自分にとって、今回の親子の復縁劇は好感が持てて、3や4よりは面白かったのですが、そうなるとなおのことボニー・ベデリアの不在が残念でなりません。

「ジャンゴ 繋がれざる者」。流れ者のガンマンが凄腕で…という設定はこの種の映画の定番ですが、このジャンゴのように「奴隷でした」というのを見せてしまうと、「凄腕になるまで」が必要なんじゃないの?と思ったのは俺だけか。ジェイミー・フォックスも「キャプテン」のイガラシくんみたいな顔してるんだから、特訓くらいせぇよ。最後の方で「すごい天才なんだぜ」みたいな台詞があったような気もしたが、いい訳臭い。

アメリカの客ならビールとポップコーン片手に血しぶきと会話の丁々発止(ディカプリオほか悪役陣は良かった)を延々と楽しめるのかもしれませんが、KKKのくだりがモンティ・パイソンの日本人には面白さがつかめない会話スケッチみたいに見えた自分には、ダラダラ長いだけの作品で、これなら家でマカロニのDVDを2本見たほうがいいや、というのが正直な感想。奴隷制批判の描写で褒める向きもあるようですが、銃をあれだけ肯定的にぶっ放しておいてそんなこといわれても…です。

いまひとつ満足できない作品が続いていたのに歯止めをかけてくれたのが「アルバート氏の人生」。歴史の空気と人生の重荷を感じさせてくれる出演者の芝居、土地と生活を感じさせてくれる情景描写。これはしみじみ良かったです。

パンフを読むと、もともとはグレン・クロースが新人の頃に演じて名を上げた舞台劇で、映画化は念願の企画だったそう。思い出してみれば、初期の「再会の時」や「ガープの世界」といった作品でもクセのある役どころをしていたので、この芝居での評価がオファーにつながっていたのかなぁ、と思ってみたり。

mamiyaさんの紹介がなかったら、間違いなく「あぁ、ジェンダーものね。関係ねっす。」となっていたところでした。不明を恥じつつ感謝です。

2013年5月12日日曜日

2月に観た映画(メモ)

イオンシネマに置いてあったローカルアイドル
のイベントチラシ。地方のシネコンは映画を
かけている場合ではない…ということかも。
今さらではありますが、備忘録ということで。

2月は新作とは別に、イオンシネマの「なつかシネマ」に遠征。
富山に住んでいたころ、開館したての金沢のイオンで同じ名前の企画をやっていたから、定期的にやっているのかな。

「オール・ザット・ジャズ」は久々の再見でしたが、やっぱり好きな映画。みゆき座の封切で観た時はもっぱら「エア・ロティカ」や「バイバイ・ライフ」といった踊りや歌に惹かれ、ストーリーやテーマはよく分らなかったのですが、齢を重ねて「死」や「病」が徐々に自分に近くなってくると、観る度に心に迫って来ますね。ラストのエセル・マーマンの「ショウほど素敵な商売はない」も同名の映画を「午前十時」で観たので、聞こえ方が少し違ったし(5人)。

「招かれざる客」。冒頭、古い方のヘラルドマークが出たので、クラシックス上映をやっていた頃のフィルムなんでしょうな。ちょっと揺れあり。

もう少し人種問題に突っ込んだシリアスな作品かと思っていたのですが、ホームドラマ的な展開でやや拍子抜け。主題歌や風俗描写もベタで、この辺は「ニューシネマ以前」の限界なんでしょうね。それでも俳優陣が皆さん巧いので、それなりに楽しく観ることができました。これが遺作となったスペンサー・トレイシーですが、確かマックィーンが「シンシナティ・キッド」での共演を熱望していたはずで、エドワード・G・ロビンソンも良かったけど、こちらでも観たかったかなぁ…と思ったりしつつ(2人)。

「ファイブ・イージー・ピーセス」。主題歌「スタンド・バイ・ユア・マン」は、生れて初めて買ったサントラのオムニバス盤「これがオリジナルサウンドトラックだ!」に台詞入りが収録されていて、繰り返し聞いたものです(「ブルース・ブラザース」でもカバーしてましたな。)が、あれから30余年、今回ようやく実物を映画館で。なんだ、冒頭で使ってたんだ。

それにしてもニコルソンが若いです。自分は「シャイニング」が初ニコルソンだったので、その昔、この人のアメリカでの人気の出方が「セックスアピールの魅力」云々と書かれていたのを読んで、「何で?」と思っていたのですが、初主演作がこれなら納得です。

この時代ならではのドロップ・アウトした若者を描いた作品ですが、”アウト”で外に飛び出すより、当節は”イン”で引きこもりだもんなぁ…と、思いながら70年代の風景を味わいました(2人)。

各文末のカッコ内の人数は自分を含めた観客数。個人的には古い映画をもっとスクリーンで観たいのですが、状況はキビしいです。この3本も現代の観客に響くか?といわれると、「オール~」が辛うじて、という感じだし。

でも、シネコン側の取り組み姿勢もいい加減。ロビーにはポスター等の告知類は一切なく、入口の掲示ポスターはネットからコピーしたものなのか、ドットがでかくて文字すら読めず。なんだかスーパーの一角のワゴンに置かれた見切り品、という扱いで悲しくなりました。イオンさん、ワーナー・マイカルも買ったんだからもっとしっかりしてください。

2013年3月18日月曜日

アウトロー/ゼロ・ダーク・サーティ

2月に見た映画の続き。

「アウトロー」。映画が終わって「やっぱ悪党が『法を超えた裁き』を受けるのは採石場だよなぁ。」と思った瞬間、オープニングのスコープ付ライフルによる殺人、刑事の薬莢の拾い方、リーチャーと犯人たちとの電話のやり取り(あちこち連れ回して疲れさせて殺すんだろう)…と劇中の数々のシーンがフラッシュバックし、「いやぁ『ダーティハリー』っすなぁ」と、おのれの貧弱な映画体験から勝手に解釈して、ひとりニヤニヤしてしまった。

「ダーティハリー」かどうかは別として、70年代あたりのアクション映画の小気味良さが全般に溢れていて、これは楽しめました。敵陣に車を逆走させて特攻する姿も宇宙飛行士が大気圏に突入する感じで堪らんです。後を守るのがロバート・デュバルというのも嬉しい。

「アウトロー」のチラシは2種類とも原作本(講談社)の表示がありません。日本での知名度が低くて邦訳が遅れてしまったのは仕方ないにしても、トム・クルーズほどのスター作品で、この辺のアライアンスが出来ていないのは失態では。映画業界、出版業界の低迷の一端を垣間見た気がします。


「ゼロ・ダーク・サーティ」。冒頭「実話に基づく」ではなく、「関係者の証言に基づく」とテロップが出たところで、「大人の事情」感がひしひしと。

キャスリン・ビグロー作品は「ハートブルー」と「ハート・ロッカー」しか観ていませんが、前2作と違ってドキュメンタリー・タッチの演出で、あまり切れがない感じ。容疑者の取調べとかも「関係者の証言」だとこのレベルなんでしょうか。ケーブルテレビの有料放送で充分な内容で、映画にしたのは「初物」として取材費がかかっているからじゃないの?と思ってしまいました。それでいて真相が明らかになっていくのはまだまだこれからかと。

それにしてもここで描かれているビン・ラーディン発見の経緯(本当かどうか分りませんが)を観て頭に浮かんだのは、「カリオストロの城」の銭形警部の名台詞、「ルパンを追っててとんでもないものを見つけてしまった。どうしよう。」でありました。

そんなことをぼんやり考えているうちに、銭形警部役の納谷悟朗さんの訃報に接しました。少々場違いで恐縮ですが、御冥福をお祈りいたします。

2013年3月2日土曜日

恋のロンドン狂騒曲


2月に観た映画。

週末に時間が空いて、シネコンでこの映画と「かぞくのくに」(キネ旬第1位)、今週で終わるので、どちらを観ようかと、一瞬迷ったのだけれど、ウディ・アレンに軍配。

「ふがいない僕は空を見た」の感想で「こういう(真面目な)テーマは『笑い飛ばして』欲しい」と書いたのだけれど、その時に思い出したのが、学生時代に観た「ハンナとその姉妹」でウディ・アレン扮する病気恐怖症の男が映画館でマルクス兄弟の「我輩はカモである」を観て人生を悟るシーン。劇中のアレンほどではないにしろ、当時の自分にとって「救い」になったシーンで、「かぞくのくに」よりコチラを選んだのも、その時は意識していなかったけれど、いまだにあの映画に影響されているんだろうなぁ、と思った次第。三つ子の魂百までというか、進歩がないと言われればそれまでなんですが。

で、この映画ですが、結構意地悪というか、皮肉っぽいというか、「恋愛なんて所詮オカルトよ。」と言わんばかりの物語展開。ハイソな方々が右往左往する様は相変わらずで、つい「上流階級アホウレース」という言葉が頭をよぎりますが、セレブな俳優陣が楽しそうに演じているのを観ていると、ニヤニヤしつつもニコニコしてしまいます。こちとら極東の一庶民に過ぎないのになぁ。

A5二つ折りの裏面
石川三千花、健在。
ジョシュ・ブローリンの浮気相手の女優さんが魅力的だったので、家に帰って調べてみたら、「猿の惑星創世記」にも出ていたフリーダ・ピント。「猿」の時もこの女優がいいと思っていたじゃん、ボケが進んでるな、でも若返ってねぇか?と、よく見たらこの作品が「ミッドナイト・イン・パリ」はおろか「猿」より前に作られていたことを知った次第。「ミッドナイト…」のオチの後味のよさはこの作品が不評だったからかしらん。

ピント嬢の情報をさらに追いかけると、一昨年に名前だけは知っているマイケル・ウィンターボトム監督の「トリシュナ」が東京国際映画祭で上映されていました。この映画、トマス・ハーディ原作「テス」の舞台をイギリスから現代のインドに移して…って、ナスターシャ・キンスキー様と同じ役ですか!

その昔ナス・キンに一目惚れしてみゆき座へ行き、ピエール・ポルトのイメージ曲入りの サントラLPを買った人間としては、ぜひ観てみたいのですが、残念ながら劇場公開はなく、来月DVDが出るだけの模様。しかも発売元は「脱衣麻雀秘密倶楽部 闇金業者の罠」とかを製作・販売している会社で、いやそれもちょっとそそられるんですが、何だかなぁ。

「勝負はこれからよ!」という懐かしい声が耳元でリフレインするのでありました。

2013年2月23日土曜日

レ・ミゼラブル/ふがいない僕は空を見た

1月に観た映画をもう少し。備忘録にしても周回遅れとなり、恐縮です。

リンクさせていただいているmamiyaさんやくろばくさんがかなり手厳しく批判していた「レ・ミゼラブル」ですが、これは確かに困った出来で、あえて偉そうな言い方をさせてもらうと、映画になっていない。舞台の呼吸で場面転換したり、クローズアップを多用しているからか、物語の世界観は狭まり、すべてがご町内の騒動レベルに。ジャン・バルジャンの「すぐ戻る」はコントとなり、彼を追うベジャール警部は「タイホする!」を連発する「天才バカボン」のおまわりさんに見えてくる。

この映画がそれなりに評判がいいのは、舞台版のファン層に支えられているからかな。出演者の歌唱力はさすが(サマンサ・バークスの「オン・マイ・オウン」とか良かった)だし、衣装やセットも凝ってます。舞台の感動を反芻したり、「今回のキャストは…」といった、リピーター的な見方をするなら、楽しめるのかも。

ということで、これなら舞台を観たくなってしまうのですが、案外それが製作側の作戦だったりして。韓国で大ヒットしているという日経ビジネスの記事(要登録)を読むと、「ライオンキング」的に映画の浸透力を使って海外公演の拡販、本国公演の観光客誘致をあらためて狙っているのではないか…と穿った気持ちになってしまいます。
我ながら素直じゃねぇな、と思いますが、そう思わせてしまう出来な訳でして。

「ドライヴ」のキャリー・マリガンを観て、真っ先に頭に浮かんだフレーズが「向こうの田畑智子」。なんか朝ドラのシングル・マザーのイメージと被ってしまいまして。
で、今度は「SHAME-シェイム-」ばりの体当たり演技で、主演女優賞ももらったりしている「ふがいない僕は空を見た」をエロ系の興味半分、作品への期待半分で行ってみたのですが。

うーん、真面目だなぁ…というのが第一印象。コスプレ・プレイ(って重なってますな)とかが話題になっていたので、もっと弾けちゃっているのかと思ったのですが、そういう訳でもなく、いろいろ「抱えた」人たちの群像劇を(多少コミカルな描写もあるものの)基本暖かく見つめる、という感じで。

そういった作り手の姿勢や作品の展開を指弾するつもりはないのですが、個人的にはこういうテーマは「笑い飛ばして」見せて欲しいなぁ、というのが正直なところです。助産院の助手を演じる梶原阿貴のきっぷの良さで何とか救われました。それと校内描写は「桐島」と比べると説得力が弱いかな。団地内のお歴々の闊達さと比べて差を感じてしまうのは役者の力量だけではないのでは。

いっそのこと、準主役だった窪田正孝・小篠恵奈コンビを中心の現状突破コメディにして、イケメン故リア充に見えてしまう永山絢斗は田畑智子(好演)や田中美晴を弄ぶ鬼畜キャラの悪役に、三浦貴大はおねえキャラで怪演させたら…と、こんなことをつい考える俺は「ドリームガールズ」のJ・フォックス扮する音楽プロデューサーみたいな性格だな、ハリウッド映画ばかり見ているからこういうアタマになるのかな、と自問自答しつつ、家路に着いたのでした。

2013年2月12日火曜日

甘い生活/山猫

1982.6.12リバイバル時のもの
1月は「午前十時」の遠征を2本。ふだんアート系作品は遠慮することがほとんどなのですが、せっかくということで行ってみました。

「甘い生活」。フェリーニは若い頃に数本、午前十時で「道」を観ていますが、う~ん、どうもピンと来ないんだよなぁ。退屈とかいうことはないんだけれど、後を引く、もっと他の作品を観たくなるような気持ちにもならないのはどういう訳だろう。

この作品も観ている間、「こういう表現って、当時は斬新だったんだろうな。」と頭では分るシーンがいくつもあるのだけれど、なぜか他人事の気分になってしまい、いまひとつのめり込めない。キリスト教的社会観になじめないから?単なる相性?う~ん、わからん。

それにつけてもアヌーク・エーメは美しいなぁ。以前はスチル写真で「怖そうな、濃ゆい美人」という印象を持っていたのですが、午前十時の「男と女」であっさり覆されてしまいました。この作品も白黒のコントラストで美しさがいっそう際立っておりました。眼福眼福。

ということで、数は少ないですが、彼女の50~60年代の出演作のチラシをこちらにまとめてみましたので、興味のある方はどうぞ。
1981.12.5オリジナル完全版公開時のもの

「山猫」。毎度毎度恥を偲んで告白しますが、ヴィスコンティは貴族の没落とか少年愛といったテーマがどうも別次元に思えて、1本も観ておりませんでした。

いやぁ、久々に凄いものを観てしまった、というのが率直な印象。日頃「映画の入場料は高い」と感じることが多いのですが、この作品ばかりは「1,000円は安すぎる」と思いました。月並みな表現ですが、「動く泰西名画」とはまさにこのこと、画面の隅々まで監督の美意識が行き渡っていて隙がなく、圧倒されました(何度か意識が飛んだのは内緒)。それとバート・ランカスターの存在感の素晴しさ。昔「家族の肖像」のチラシを入手した時、「なんでこんな映画にこの人が?」と思いましたが、こんな演技をされたら再オファーが来るよなぁ。

という訳で、食わず嫌いを猛省し、もっとヴィスコンティが観たいなぁ、と思いましたが、こればかりは自宅のしょぼいテレビでは意味がないわけでして。次に出会えるのはいつになるのやら。

「甘い生活」も「山猫」も、初版のチラシは欲しいのですが、比較的割安なアート系作品も、この辺は別格で手が出ません。それにしても「山猫」初版のランカスターの格好、あれは貴族というより農夫だよな、どう見ても。

2013年1月30日水曜日

LOOPER/ルーパー/テッド

年が明けたら映画泥棒のCMがリニューアルされたけれど、増殖した泥棒君たちがとっても楽しそうで、あまり警告って感じがしないんですが、大丈夫なんですかね。ちなみに地元の美容院がこれのパロディCMを予告編前に流していて、ちょっと好きです。

で、新年一発目は外したくないなぁ、と思って世評の高い「LOOPER/ルーパー」に行ったのだけれど、期待値のハードルが高すぎたか、いまひとつ乗れずじまい。

未来の自分と対決するという設定は面白いし、近未来の枯れた雰囲気も良かったのですが、話の流れとして周囲のキャラクター(主人公の組織の連中や食堂のウエイトレス等々)にもうひとひねり、タイムトラベル的に意外な展開があるんじゃないかと思ったので、その辺の工夫なしにサイキック方面を膨らまされたりすると、「もうちょっと考えつかない?」「何か本筋から逃げてない?」と感じてしまったんですよね。BTTF第1作の、周囲のキャラクターまで引っくり返してしまうインパクトをつい期待するこっちが悪いのかもしれませんが。

主人公の仕事のシーンや虐待が将来の自分に反映するところとか、面白い箇所もあったし、ラストも納得なんですが、どうも物足りない気持が先に立ってしまいました。
予告編のピストンレジ打ちが気に入った「テッド」を初日レイトで。うわ、普段は座席表示が◎ばかりのシネコンが、△になるほど埋まった…

でも、ほぼ満員の場内が爆笑の渦、とならないのがツラいところ。予告以上に過激なR15ネタもこちらでは反応は今ひとつで、いちばん受けてたのが、その手のネタではなく、テッドの上司のリアクションだもんな。

予備知識なしで見たので、80年代のテレビ・映画ネタはここまでやるか、という感じで詰め込まれていて、ゲスト出演含めその辺は結構楽しめましたが、若い人にはちょっとキツそう。これで外国のコメディが苦手にならなければいいのだけれど。

話全体のつくりは案外雑で、下品上品抜きにしても、決してほめられた出来とはいえませんが、日本なら「劇画オバQ」になる話を、こういう作風に持っていけるのはさすがハリウッドだと思うし、ネタからみても40代以上に向けて作って、しかも当ててしまうところにアメリカの観客層の幅広さを感じてしまいました。

それにしてもこの2作といい、「エクスペンダブルズ2」や「007スカイフォール」といい、作り手の中国10億市場への目配せがひしひしと感じられ、GNPの順位が転落したことを実感しますです、はい。

2013年1月24日木曜日

人生の特等席/007スカイフォール

12月に観たのは2本だけ。

「人生の特等席」。一昨日早めに帰宅したら、たまたまBSで「目撃」をやっていて、ついつい観てしまったのですが、こっちも妻と死別して、弁護士になった娘と仲違い…と、好きなんですかね、この設定。

「ハートブレイク・リッジ」で「トップ・ガン」のトムクルーズの真似した若造のサングラスを踏み潰すシーンを思い出す、「マネーボール」にケンカを売るようなストーリー。キーとなる大物ルーキー候補の弱点は原題でネタバレ、隠れた才能君の速球を女・子どもがキャッチできるのも無理筋。A・アダムスと、J・ティンバーレイクが田舎町で出会う若者のダンスも今時これはないだろうという古臭さ(「掠奪された7人の花嫁」が始まるのかと思ったぞ)…とリアリティなど考えたら頭が痛くなる展開なのに、ニコニコと観通せてしまうのは、「目撃」がホワイトハウスへの反撃をぬけぬけと達成してしまうのと同じで、「映画の文法=魔法」のかけ方が巧いとしかいいようがないです。「これでいいのか?」と問われれば、「これでいいのだ」と答えたくなっちゃうのは、イーストウッドびいきが過ぎるのかなぁ。

残念なのはパンフレットで、相変わらずの全作レビュー。こんなの喜んでいるのは書き手だけだと思うんだけど。劇中のスカウト仲間や弁護士事務所のパートナー連中あたりのクセ者たちを解説して欲しかったです。

一方、その「リアリティ」がどうにもしっくりこないのが、ダニエル・ボンド。「カジノロワイヤル」のエンディングには「新生ボンド誕生!」と、正直グッと来たのだけれど、次の「慰めの報酬」でガッカリ。やっぱ続編にしちゃダメだよな。ボンドガールや悪の組織はぬけぬけとリセットして、それまで何もなかったかのごとく始めなくちゃ。それに「リアルなジェームズ・ボンド」みたいな言われ方がされるけれど、そんなの”正義の味方の悪漢が、黒い白馬にまたがって、前へ前へとバックする”ようなもので、ムリだと思うのは俺だけか。

初っ端のアクションは良く出来ていたし、Qの若返りもグッド・アイデアなんですが。ダニエル・クレイグがどんどん暗くなっていく感じで、今回「実は復帰テストは不合格」というエピソードがあったけれど、地下鉄に飛びついて乗務員に軽口をたたくシーンのあまりの「寒さ」に思わず「お前はジェームズ・ボンド不合格!」と心の中で叫んでしまいました。

サム・メンデスの起用で主人公の内面性の描写とかは深まったのでしょうが、それが「007映画」に必要なのかと。下手に作家主義になって、毎回「僕のジェームズ・ボンド論」を見せられたらたまらんのですが。世界的にヒットしているだけに凄く不安です。観終わった後にネットで見つけた渡辺淳一の「人間はもっと軽薄にならなきゃ、高尚なら誰でもなれる。」という言葉を(渡辺氏の発言の趣旨とは違うかもしれませんが)製作陣に贈りたいです。