2012年8月6日月曜日

女王戴冠/民族の祭典(総集編)

気がつけばオリンピックも後半戦。ロンドン五輪ということで、ちょっと便乗して英国と五輪ネタを。

今年はエリザベス女王即位60周年。来日した時、自分は小学生でしたから、歴史を感じます。
で、即位の翌年1953年6月2日の戴冠式の様子を収めたのがこの「女王戴冠」。
チラシには「6月中旬公開」とあり、調べてみると6月15日に公開されたようです。

式から2週間で公開という突貫工事。自分は「記録映画」というと、長期取材したものというイメージがあるのですが、この年の2月にNHKがテレビ放送を始めた状況ですから、速報性で商売になった時代なんでしょうね。ちなみに日本初のテレビ中継は皇太子殿下がこの戴冠式に向けて横浜港を出発するところだったそうです。

ブログを書くようになってから新聞の縮刷版で古い映画広告を眺める機会が増えたのですが、三島事件(1970年)の時も「事件のニュース映画上映中」という広告が出ていて感心しました。映画の観客数が落ちていく過程というのは、「女王戴冠」の速報性や「三島事件」の衝撃性といった商品価値を他のメディア(テレビやネット)に代替されていくことなんだな、と。

そう考えれば、オリンピックの記録映画が上映されなくなったのもごく自然な流れで、当初74年にリバイバル上映を予定していた「民族の祭典」がお蔵入りしたのも仕方ないのかもしれません(先日古書市で映画雑誌を立ち読みしていたら、有楽座で公開予定の広告が出ていました)。

当時のチラシ(東和でよくある単色二つ折りのもの)には「戦前・戦後を通じて、映画による観客動員数の最高記録をうちたてた。」とあり、東和としては誇るべき大事な作品であったのでしょうけれど、時代の流れには逆らえなかったんでしょうね。

そういえばこの映画、まだ洋画作品のビデオ化がほとんどされていなかった頃、他の東和作品(「真夏の夜のジャズ」「シェルブールの雨傘」)と一緒にCBSソニーからビデオ発売されたように思います。そんなところでも先進的な作品ではありました。

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