暑さから逃げ込むように「ダークナイト ライジング」の先行レイトへ。
「ダークナイト」が面白かったので、「ビギンズ」も見ておかなきゃ…と思いつつ、ダラダラ過ごしているうちに、とうとうこの日を迎えてしまった。
完結編、ということで前2作とつなげているものの、自分のような怠け者でもついていける親切な作りになっていますが、徹底的に”ジョーカー”を切らないのは、ノーラン監督の意地か。ここまでの長編になってしまったのはひとえにノーラン監督の作家性を尊重したからでしょう。スタジオ主導で他の監督にしていたら、1時間近くカットされるか「ハリポタ」みたいに二部作興行になっているのでは。それだけ「ダークナイト」の存在が監督にもスタジオにも大きいということですかね。
予告編を観て、ちょっと危惧したCG過剰演出(競技場のシーンとか)も、本編では手際よくまとめていて、重厚なムードにかかわらず、退屈させることなくまとめ上げる力量は大したものです。
とはいえ、「ダークナイト」で見せた「札束放火」や「二者択一」の悪魔的なイマジネーションは最後まで窺えない(あえて避けたのかもしれないけれど)ので、「また観たい!」とまではいかなかったかな。せっかく「ライジング」したのに「最後はそこに落ち着くかっ」みたいな部分もあるし。でも、ここまできっちり片をつけたのだから、文句は言えないですね。ってエラそーに書いて、1作目をいつ観るんだ俺は。
「おおかみこどもの雨と雪」も予告編で、ちょっと嫌な予感がしたのものの、富山が舞台なので行ってみたのですが、「予感」が当たってしまった感じです。
今まで観た細田作品は、「時をかける少女」はタイムトラベルの、「サマーウォーズ」はSNS世界と現実との関係の、といった「映画内ルール」みたいなものがあって、この2作は幸いそのルールに「乗れて」楽しめたのですが、今回の「おおかみおとこ」ルールはダメでした。
「狼男」ではなく「おおかみおとこ」にしている時点で気づけよ、ってところかもしれませんが、人か狼か、という選択にあたっての”狼”を示す描写に肉食や血といったリアルな獣性がないのは激しく不満です。自然に戻るんではなく、野生に帰るんだと思うんですが、方向性としては。背景画が妙にリアルなので、よけい違和感を感じます。ラブシーンやこどもの「猫耳」はあまり気にならなかったのですが…
作り手としては「おおかみ設定」云々はそこそこに「子育て・自立」を描きたかったのかもしれないし、テレビ局主導の夏休み映画なので、脱臭・浄化されてしまうのかもしれないけれど、説得力が弱いんじゃないかなぁ。「お前みたいな客は相手にしていない」といわれりゃそれまでなんですが。ところどころいいシーンもあったにせよ、村民等の人物描写が物語の進行用のその場しのぎ感が強く、宮崎あおいの吹替えも長い台詞はこなせていない感じがしたので、全体的に「時間切れ」だったのかもしれません。
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