2012年11月23日金曜日

エクスペンダブルズ2/009 RE:CYBORG

どうも右側にあった「最近のコメント」欄が壊れてしまっているようで、削除しております。
ヴァンダムがタモリに見えてしまう。
エクスペンダブルズ2」。
「燃えよドラゴン」でブルース・リーが門弟に「考えるな。感じろ。」と指導するシーンがありましたが、冒頭の強引な戦闘シーンを観ながら、その台詞を思い出し、「この映画は考えて観たら負けだな」と、内心つぶやいた次第。消耗品軍団と名乗っているけれど、どう見ても消耗品なのは敵方の兵士たちです。

これだけのオールスターキャストになると、「船頭多くして…」になるところですが、戦闘シーンならぬ船頭シーンとでもいいましょうか、ひたすらスターの「見せ場」をつなぐことに徹していて、割り切りぶりが潔い。そのぶん話はロケ地から逆算して作ったんじゃないかという気がするほど適当。さらにドルフ・ラングレンのコメディリリーフを筆頭に、会話とかの演出はイマイチすべっている感じ。その辺で面白かったのはチャック・ノリスだけかな。

考えたら負けだと思っても、つい考えてしまったのが、「誰だよ、あの女」。何であんなに出番があるのか。マギーQかミシェル・ヨーを呼んだら、エージェントが勝手に連れて来た感じ。早々に退場したジェット・リーと何かからんでいるんですかね。

ともあれ脳のネジを緩めてひたすら「ドンパチボガーン」を楽しんだのですが、その後自宅で久々に「夕陽のガンマン」のDVDを観返したら、C・イーストウッドとL・V・クリーフの腕比べとか、バカバカしいのは同じでも、こっちの方が断然カッコよくて面白いわけで。次回はもう少しその辺(腕比べ・腕自慢)を工夫してもらいたいものです。野球のオールスターだって試合前にホームラン競争するんだし。

早帰り日に本当に早く帰宅できることになって、衝動的に「009 RE:CYBORG」へ。「サイボーグ009」は初期の「天使編」までを読んだ記憶しかないんですが、そんなことよりも漫画を読んで「女」を感じた最初のキャラクターが003、フランソワーズ・アルヌールだったもんで。ついつい。

フルCG、なんだそうですが、どうも各キャラクターの表情や動きがのっぺりしています。あまり技術的なことはわからないのですが、ちょっと魅力に欠けるように思いました。飛行シーンも戦闘機の方はなかなかいい感じなのに、人物がからむとどうも違和感。3Dだとまた違うのかもしれませんが。

お話の方ですが、遠い昔に読んだ原作のムードを思い起こさせる壮大な展開はいいし、9人のメンバーもそれなりに活躍するのも嬉しいのですが、それぞれが活躍しすぎて、広がりすぎた話とあいまって収拾がつかなくなっています。それとやはり「かつて活躍したゼロゼロメンバーが再結集する」という設定は、その「かつて」がどうしても遠すぎてしまうので、ムリがあるよなぁ。核爆発シーンも、日本映画なんだからもう少ししっかり描いて欲しいです。

003はバレエというよりエアロビをやってそうな感じに変更されてましたが、サービスシーンもあるし、結構活躍するので、まぁ満足。次回はもっと大胆なシーンを期待しますが、それじゃ親子連れが引いちゃうか。

2012年11月19日月曜日

お詫びと訂正、画像追加など

このタイトルを知った時はウーマンリブを
題材にしたコメディかなと思いましたが、
チラシを読むと、「欲に目がくらんだ親に
利用された娘の悲劇」という、いかにも
昭和30年代だなぁ、というお話のようです。
思いつきだけで書き続けている拙ブログですが、何だかんだでエントリーも百本目。
その記念すべき100回目が訂正というのも、なんというか、自分らしいです。

「電撃脱走 地獄のターゲット」のエントリーで、「…チック…チック…チック」が二番館では「白昼の大捜査線」と改題して公開された、と書いたのですが、「白昼の非常線」の間違いでした。データの再チェックを怠って書き飛ばしておりました。申し訳ありません。
※こちらに参考画像を添付しておきます(今月末まで)。

また、70年代の「卒業」のリバイバルですが、二番館でも上映されており、そのチラシを入手しましたので、まとめたページに画像を追加しております。

そのほか、検索でご訪問いただいている方が多いジャクリーヌ・ササール様のページにも1点追加、荒野の七人のエントリーにも71年リバイバル版の画像を追加しました。

本ブログはジョージ・ルーカスをリスペクトしておりますので、いったん書いたエントリーも訂正や情報・画像の追加をしていきます。変更点は随時お知らせしますので、その点はご了承願います。

「支柱があるから伸びていける」とTOHOシネマズも言っておりますが、ここまで続いたのは皆さまのご支援のお陰です。あらためて感謝申し上げます。

2012年11月14日水曜日

暗くなるまでこの恋を/大逆転

「ロードショー」のチラシ冊子のエントリーのコメント欄で話題になりましたので、「暗くなるまでこの恋を」について少々。
左が初公開時(2月)の二つ折り。右が拡大公開時(7月)の1枚もの。
キャッチ・コピーを加えたため、スタッフ・キャストの位置を変えています。

この作品は1970年2月26日に有楽座で公開されているのですが、当時の新聞を見ていますと、1月16日夕刊に「女王陛下の007」の新宿プラザ劇場公開広告の下部に「あなたはどちらをご覧になりたい?」との見出しで「生きる限りこの愛を」「暗闇のワルツ」の2つの作品から選ぶ投票を呼びかけています。

その後2月13日に「皆さまのご賢察の通り一本の作品でした。最終的にこの映画の題名は『暗くなるまでこの恋を』と決定しました。突然2月26日ロードショーです。」の告知が。投票〆切が1月19日ですから、タイトルが決まってから公開まで1ヶ月ちょいという強行軍。これだけのスタッフ・キャストの作品がどうしてこんな扱いになったのか判りませんが、この短さが四つ折りプレスを二つ折り2種のチラシに分割した原因かもしれません。
その他のバージョンも含めて、東京公開版をこちらでまとめてみました。

B5二つ折り。実は自分の持っているものは右端が手で破ったのでは
ないかというくらい汚く、プレスを悪用したまがいものかもしれません。
あらためて二つ折り版の裏面を並べてみて思い起こしたのが、同じ70年5月に公開された「大逆転」です。こちらもB5二つ折りのチラシが2種類出ているようですが、自分が持っている1種類は「暗く…」と同じようなつくりで、四つ折りプレスが存在する気がしてなりませんが、残念ながらその辺は未確認です。ただ、こちらの作品はもう片方(「秘蔵!洋画チラシ全集」に掲載)にもちゃんとユナイトマークが付いています。

この作品は丸の内松竹・東急レックスで公開されたのですが、その前の「としごろ」が8日間しか上映されていないところをみると、かなり急に公開が決まったのではないかと思われ、通常版らしきチラシも存在しません。この時期は大阪万博が真っ盛りだったので、映画興行は苦労続きだったのかも。

「大逆転」はできればもう1種類の方も手に入れて、裏面がどうなっているか確認したいのですが、ハードルは相当高そうなので、いったいいつになることやら。でも知りたいなぁ。

2012年11月10日土曜日

アルゴ/夢売るふたり

10月に観た映画の続き。
ティーザーぽいチラシで、一瞬マイケル・ムーアの
新作かと。これで客を呼ぶのは厳しいミッションか。
アルゴ」。冒頭のワーナーマークが懐かしく、イランの政情とアメリカとの関係を手際よくまとめた出だしも快調。実在の人物であるジョン・チェンバースの事務所に「怪奇!吸血人間スネーク」のポスターがドカーンと貼られているのも嬉しいです。

人質救出のために映画のロケハン隊を装うという、嘘みたいな実話の映画化で、いくらでも膨らませて演出できる題材ですが、地道にエピソードを積み上げていくのは前作「ザ・タウン」と同様で、この辺の手堅さ、リアリティ重視、俳優の芝居を優先した演出が評価されているんでしょうか、ベン・アフレックは。

と、観ている間は作り手の誠意を随所に感じて好感が持てたし、サスペンスの間の取り方がベタだったとはいえ、さほどの失速感もなかったけれど、いまひとつ心に残らなかったのは何故だろう。事件の全体像の紹介に終始して、主人公の人物像にあまり迫っていないからかな。いくつかのエピソードはあったにせよ、その程度の描写では最後の妻子との再会に感興は湧かないし。この辺、アフレックが「俺様映画」化するのを避けての配慮かもしれませんが。

と、思いつつも、大統領選挙の時節柄、最後のナレーションに「やはりこの映画の目的は『事件の紹介→米民主党の実績PR(人質救出と事件の情報公開)』かな」と感じるわけで、オバマのオの字も出ないにしろ、そこは正直白けます。

国を二分する「政治の季節」に双方の陣営がそれぞれの思惑であれこれ言い合うのは仕方ない話ではありますが、いくらなんでもこの作品を「今年最高」とか、ましてや「ポスト・イーストウッドはこの人」みたいに言うのはいい加減にせぇよ、と思います。日本のマスコミもその「祭」に乗ってどうするよ。空港の追っかけは「フェイスオフ」の序盤をちょっと思い出しましたが、そういえば「フェイスオフ」のDVDにデカデカと「今世紀最高の傑作」と書いてあって、思わずショップの店頭で「シェーッ」のポーズをしそうになったなぁ。褒めるにしても言葉を選んでほしいです。

夢売るふたり」。
西川作品は「ゆれる」に続いて二本目ですが、どうも話を練ることより「人間の本性」を描くのが好きな方みたいで。自己紹介に「趣味:マンウォッチング」と書くような女性に似た感じがするのは俺だけか。

で、今回はさまざまな女性の生態をウォッチングしておりますが、まぁ、長いわ。ひとりくらい端折ても問題なかったのでは。犯罪コメディ仕立てにしているのでしょうが、「ゆれる」が一見ミステリー仕立てにしていてもそれに徹していなかったのと同様、相変わらずスタイルだけだし。物語の暗転の演出手法はちょっと許せない。

それにしても松たか子ですが、夫に結婚詐欺をさせる女はラーメン屋や魚河岸で働かないと思うんだけど。いい子過ぎ。阿部サダヲ(好演)とのからみシーンをせずにオナニーやナプキン交換するのも何だかねぇ。喜ぶのは実話系週刊誌だけだと思うんですが。

移動撮影とかにいいシーンがあるし、出演者も好演、「人間の本性」が好きな方には楽しめるのかもしれませんが、こちとら現実でお腹いっぱいなので、今後もこういった路線ならもういいかな。

2012年11月3日土曜日

ウエスタン/大砂塵の男

1969.10.31 新宿プラザ劇場の開館第1弾作品です。
リンクいただいておりますmamiyaさんのブログFROMにて、前々回の「水野晴郎・選 決定版!!チラシBESTセレクション1000」のエントリーをご紹介いただきました。ありがとうございます。

そちらのエントリーでは往時の「少年マガジン」のチラシ特集の扉も紹介されているのですが、ここまでまとめて見たのは初めてで、嬉しいの何の。興味のある方はぜひご訪問いただければと思います。

1973.5.12 上野東急・池袋東急と、CICスプラッシュ系
にしては珍しくST系。同時上映は「プロフェッショナル」
さて、本日は個人的には新発見だったことをば。

ネットオークションで「ウエスタン」の正方形版が出品されているので、「決闘シーンの構図のデザインって海外も同じなのかな」とポスターの画像をいろいろ検索していると、日本版のこんなポスターを発見。最近死亡のニュースが話題になった「おい、小池!」ではないけれど、どうもチャールズ・ブロンソンの人相に見覚えが。これは「大砂塵の男」ではないか。

くだんのポスターにはCICマークがあり、75年のリバイバルでしたが、さらに調べると初公開時のポスターにもそれらしき図柄が。「チラシ大全集」にも掲載されているタイアップ版チラシ(未所有)にも使われていました。どうやらイタリア版のポスターの図柄を書き直した感じです。それにしてもこの初公開のポスター、上のチラシにある2つの図柄を組み合わせていてカッコいいのですが、監督は怒りそうだな。

allcinemaにもあるように、「大砂塵の男」はテレビ番組「バージニアン」のエピソードをつなげた代物で、製作年度が1968年ですから、ちょうど「ウエスタン」と同時期だったようです。テレビ作品なのでいいブロンソンの図案が無かったのかな。
公開された1973年は「バラキ」や「メカニック」等々、ブロンソン人気はまだまだ健在だったはずですが、スプラッシュに留まったのは、トレードマークのヒゲがない作品だったからでしょうか。テレビで「う~ん、マンダム」が流れ続けていましたし。そう考えると、以前紹介した「荒野の七人」のリバイバルにヒゲを書き足していたのも判る気がします。
1975.5.24 銀座東急ほか

それにしても同じCIC配給とはいえ、片やパラマウント、片やユニバーサルだったわけで、大胆なことをするものです。

大胆なのは図柄だけではなく、キャッチコピーもそうでして、
大砂塵」が
”ぎらつく太陽にブロンソンがよみがえる!豪快!荒野火を吹くアクション大作”
なのに対し、「ウエスタン」(リバイバル時)は
大砂塵舞う荒野の音がするとき静寂は去りライフルが火を吹く決闘大西部!”
になっています。

いやぁ、判ってやっていますね、これは。

ひょっとするとブロンソンのマニアの方や映画宣材コレクターでは有名なネタなのかもしれませんが、自分はようやく気づきましたので、とりあえず報告する次第です。

2012年11月1日木曜日

大いなる西部(66R)

当時全盛期だったC・ヘストンの名前が先に。
1966.5.14 東劇、新宿ピカデリー、渋谷東急
(1週遅れて浅草大勝館)。館名部分に広告が
入っているバージョンもあるようです。広げてB4
サイズ(「チラシ大全集」は折った上半分を掲載)
午前十時の映画祭」の落穂拾いで県外へ。

自分の中で「これだけは映画館で観るまで我慢しよう」と思っている作品がいくつかあって、「大いなる西部」がその一本。今回、ジェローム・モロスの名曲をバックにしたソウル・バスタイトルデザインや有名なグレゴリー・ペックとチャールトン・ヘストンが殴りあうシーンを大画面で観て、「生きててよかった…」という幸福感に浸ってしまいました。単純だなぁ。この調子で「グラン・プリ」や「ライアンの娘」あたりも何とかお願いしたいものです。

このチラシの裏でも双葉十三郎が「遠景」の見事な用法について触れているけれど、「映画館で観られることしか考えていない映画」の凄味を堪能しました。近年の大作もロングショットは多いけれど、CGを塗ったくっているせいか、細密すぎ・ピント合いすぎで逆に広大感が無いように思えてしまうのが不思議だし、ある意味悲しいですね。

内容の方ですが、グレゴリー・ペック演じる主人公の思考・行動を見ていると、久々に「非武装中立」という言葉を思い出してしまいました。決闘で死んだ父親の銃を婚約者の父親にプレゼントするあたり、第二次大戦後の反省から「戦争放棄」を打ち出した日本と重ねてしまうわけで、初公開当時、アメリカより日本で大ヒットしたのも何となく判る気がします。

主演の二人や女優陣もいいけれど、脇を固める「時代遅れ」な両家のボスに惹かれてしまうのは「ワイルドバンチ」が好きな自分らしいなぁ、と考えつつ、家路を急いだのでありました。