おことわり

本ブログの画像の転用は固くお断りします。
photos on this site are NOT allowed to be used on other websites.

2012年8月5日日曜日

リンカーン弁護士/SHAME-シェイム-

7月に観た映画の続き。
まずは「リンカーン弁護士」。「リンカーン/秘密の書」のチラシが11月公開になっていたので、こっちも何となくまだ先の公開だと思っていたら、すでに公開中で早期終了のフラグが立っていて、あわてて映画館へ。

崖っぷちの男」のエントリーで脚本にひねりが無い、とか書いたけれど、では大阪市長よろしく「じゃ、対案を出せ」といわれると、こっちも浮かばない訳で、ついついお役所の常套句「それは私の仕事ではありません。」とか言ってゴマかしたくなってしまうところではありますが…

そんな時にこの映画を観ると、「いやいや、ちゃんとした映画はやっぱキッチリ作ってますぜ。」と、ホッとした気持ちになります。「崖っぷち」がオリジナル脚本なのに比べ、こちらはアメリカでは賞も取ったベストセラーが原作ですから、元のよさが違うんでしょうし、「拾い物」という表現も失礼な”格”なのでしょうけれど。

ミステリー系なので詳細は書きませんが、話の展開も面白かったし、出てくる役者も皆さん芸達者で魅力的。暴走族の連中の使い方あたりは「こういうのが映画だよなぁ」と思ってしまいます。それにしても「バトルシップ」といい、ハリウッド映画もいつのまにかサッカーを使うようになってますね。

一方の「SHAME-シェイム-」は、映画が、というより、監督の名前に興味があったので、行ってみたのですが。

自罰的なセックス依存症の兄の心象風景を、やはり自罰的な恋愛依存症の妹をからめて描いた一編、ということなんでしょうが、正直なところ、自分の興味範囲外の映画でした。

特段つまらない、ってこともないし、映像もきれいにまとまっていましたし、ファスベンダーのお相手の女性たちは羨ましいくらい美人揃いなんですが。ただ、この種の映画にエロスを求めようとは思わないけれど、主人公の苦悶を18禁シーンで描かれてもなぁ、というところでして。この辺は監督さんがゲイだというのも関係あるのかな。

ドライヴ」でだめんずの妻を演じていて、ちょっと魅力的だったキャリー・マリガンが「体当たり演技」をしているのですが、こっちは外したかなぁ。とりあえず「ニューヨーク、ニューヨーク」を歌っているのをアップで延々と映されたのには、ルドヴィコ療法を受けてるんじゃないかと思ったくらいつらかったです。

2012年8月4日土曜日

シネショップのチラシアルバム

左がクリエイト鷹(シネマ・ファースト社)、右がFOXスクリーンフレンドのチラシアルバム

以前紹介しましたシネマ・ファースト友の会のエントリー中で「チラシアルバムに再会したい」と書きましたところ、このブログをご覧いただいたStevenさんより、シネマ・ファースト社とFOXスクリーンフレンドのチラシアルバムや封筒の画像を送っていただきましたので、小生の責任にてご紹介させていただきます。

いやぁ、嬉しいです!本当にありがとうございます。ブログを始めて良かった…

シネマ・ファースト関連はこちらFOXスクリーンフレンド関連はこちらにまとめております。

Stevenさんも、70年代半ばにチラシを熱心に集めておられ、「FOXスクリーンフレンド」や「鷹」の通販を利用されていたそうです。
「スクリーン」76年6月号の広告画像もあわせて提供いただきました(画像のアップは遠慮させていただきます)が、シネマ・ファースト社はやはり「鷹」さんと同じ経営系列でした。小生がチラシつき写真セットに夢中になった80年代初頭には一本化されていたのかもしれません。

また、この頃のFOXスクリーンフレンドの広告はスターのキャビネセットが中心で、チラシはまだ隅の方でした。この手の映画雑誌を読むようになった70年代後半にはチラシが主の広告になっていましたので、「夜明け前」な印象です。以前紹介したシネマ・ファースト友の会が有料化したのも76年12月号の広告からのようですので、この時期からブームが通信販売によってさらに勢いを増したのではないでしょうか。


当時のFOXスクリーンフレンドの広告を引用しますと…
************************************************
大流行の宣伝用チラシ       
売り切れ近し/5枚セット¥400         
(250種あり)10作品記入下さい。その中  
より5作品希望通り折らないで送ります。 
○切手で良い ○新カタログ№10号    
ローマの休日/大空港など 250種リスト 
切手¥100ですぐ送ります。        
************************************************
とありまして、当時はまとめ売りのみの対応だったようです。

(C)講談社・少年マガジン
Stevenさんからは他にも当時の「少年マガジン」のチラシ記事の一部も提供いただきました。記事のアップはこちらも遠慮いたしますが、これだけはちょっと紹介を。

「映画チラシ大全集PART2」(1977年発売)の宣伝記事なのですが、表紙が実際に発売されたものと違っていました。これは貴重ですね。

チラシブームの状況をうかがい知るこの種の情報はネットでもほとんど出てこないので、個人的には非常に残念なのですが、Stevenさんのように、こうやって当時のものをしっかり保存している方がいらっしゃると、とても嬉しく、心強く思います。何かの縁でこのブログにたどり着いた方で、「こんなの持っています」という方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をお寄せいただければ幸いです。

あらためまして、Stevenさん、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします!

2012年7月29日日曜日

崖っぷちの男(CBCラジオタイアップ)

映画の感想も書いたところで、「崖っぷちの男」のタイアップ版チラシをご紹介。
チョコさん、交換いただきありがとうございます。

名古屋のCBCラジオの番組「つボイノリオの聞けば聞くほど」とのコラボチラシで、オリジナルのチラシを表も裏もなぞった、凝ったつくりになっていますが、紙質はこっちの方が本家よりいいですね。ちなみに番組のブログの6月15日のエントリーにこのチラシの撮影風景が掲載されています。

そういや昔、ビックリハウスあたりに映画のパロディポスターとか載っていたなぁ。「セクシー・ドライバー」とか。番組のサイトのトップページも「風と共に去りぬ」のパロディになっていて、好きなんだろうな、こういう企画が。

つボイノリオといえば、「金太の大冒険」が有名ですが、こちらの曲もインパクトがありました(「燃えよドラゴンズ!」やタイムボカンシリーズで有名な山本正之の作詞作曲)。やはり地元でしっかり活躍されているんですね。

仕事が外回りなので、名古屋にいた時も車でラジオは聞いていたはずなんですが、この番組は覚えていないです。当時は民放を聴かなかったのかな。

20周年だそうですが、ラジオの朝番組って長寿番組が多いですね。TBSの大沢悠里にしろ、ABCの道上洋三にしろ。これからも頑張ってほしいです。

それにしても、名古屋は独自のタイアップチラシが多いところだと思ってましたが、ここまで作り込んだモノは見たことないです。

映画の出来はちょっと残念でしたが、こっちは大傑作!

崖っぷちの男/裏切りのサーカス

三連休に観た2本。
「面白そうな映画」が必ずしもイコール「面白い映画」とはならないのが難しいところで、「崖っぷちの男」もそんな残念な作品でした。

設定とキャストから、インディ系の新鋭にメジャーが金を出したのかな、と思ったのですが、観終わってパンフを読むと、10年くらい眠っていた脚本なんだそうで、さもありなんという感じでした。

展開にこれといったひねりが無く、特に敵役のエド・ハリスの後半の動きは主人公をサポートしているとしか思えない馬鹿っぷり。脇役(TVリポーターや観衆)の描き込みが足りないのも不満です。

主役の二人も魅力があまり感じられず。前から疑問に思っているのですが、サム・ワーシントンってどこが良くて評価が高いんですかね。影の薄いデニス・クエイドあたりをさらに希釈した感じなんですが。

監督はドキュメンタリー畑の新人だそうで、「CG使いましたぁ」的なシーンが無いのは良かったんですけどね。物語の行方よりエド・ハリスの痩せ方のほうが心配になる映画でした。

続けて「裏切りのサーカス」を。懐かしや、ジョン・ル・カレの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化ですが、スマイリー・シリーズは読んでないです。

こちらは70年代ムードあふれる雰囲気と癖のある俳優陣が揃っていて見応えありました。
結構複雑な話で、現在と過去の描写も行き来しているので、正直なところ、話が掴めなかった部分が無いことも無かったですし、クライマックスの選曲もちょっと?でしたけれど、謎解きや含みのある会話の「イギリス的嫌らしさ」が、「ゴーストライター」同様、これが結構快感でして。

まぁ、「崖っぷち」の後なので、相対的な満足度が断然上がっているのもあるんでしょうけれど、かなり楽しめました。

KGBエージェントの妻役の女優さんが短い出演ながらなかなか魅力的だったのですが、さっそく「ウルヴァリン」の続編の話が出ているそうで、これも楽しみ。

2012年7月22日日曜日

時計じかけのオレンジ(イベント上映版)

関西エキプ・ド・シネマのエントリーで情報提供をお願いしましたところ、さっそくチョコさんより第26回「現代ドイツ映画祭」、第28回「ソビエト4大作家展」、第35回「R.W.ファスビンダー特集」の画像を提供いただきましたので、追加登録させていただきました。いつも本当にありがとうございます。やっぱりまだまだあるものですね。皆さまも何かお持ちでしたら、ぜひご連絡をお願いいたします。

 「タイム・アフター・タイム」に触れましたので、主演のマルコム・マクドウェルといえばこの作品、ということで、「時計じかけのオレンジ」のイベント上映版を。状態が悪いのが残念ですが、ご勘弁ください。

このチラシも「北国の帝王」と同様、イベントに映画の試写会が付いているもの。初公開(1972年4月)の時ではなく、1979年夏にリバイバル上映された時のものです。キューブリックと蜜月のワーナーとしては、前年のSFブーム(スター・ウォーズ、未知との遭遇)にのってリバイバルされた他社の「2001年宇宙の旅」がヒット、新作「シャイニング」も控えている状況でしたから、絶好のタイミング、というところでしょうか。当時「ぴあ」がやっていた「もあテン」(旧作公開のリクエスト)でも上位にランクされていたように記憶しています。
B5二つ折りの見開き

イベントの方ですが、FM東京でAIWAでアドベンチャーと来ると、自分は松任谷由実の「サウンドアドベンチャー」を思い出してしまうのですが、調べましたところ、前史として1977年10月から土曜の午後3時に「サタディアドベンチャー」という番組が始まっており、司会者や放送時間が変わるうちに番組のコンセプトも変わり、ユーミンの番組になっていたようです。

で、初代パーソナリティの小林亜星(!)に変わって78年10月頃から司会をしていたのが、今野雄二で、当時の新聞記事(あの頃は1週間のFM番組表が載っていましたね)によると海外のコンサートライブ音源を直輸入してオンエアする番組だったようです。当時の自分は午後1時からの「コーセー歌謡ベストテン」は結構マジメに聞いていましたが、シリア・ポールの「DIATONEポップスベストテン」あたりで興味喪失、この時間帯はテレビに行っちゃってましたので、記憶にないです。
裏面はラジカセ(70年代
後半からステレオ化して
いきました)の広告です。

イベントの第一部は当時AIWAのラジカセのCMソングを歌っていた町田義人(「戦士の休息」は今でもカラオケのネタにしています)のコンサートで、デ・パルマだのトーキング・ヘッズだのといった方面がお好みの今野氏としては、スポンサーの意向とはいえ、畑違いのお仕事だったかもしれません。ひょっとすると、その交換条件で「時計じかけ…」の試写を組み込んだのかも。

それにしてもこの「アドベンチャーオデッセイ」、Vol.2とあるのですが、”1”は何だったのでしょうかね。
映画とは限らないでしょうけれど、ちょっと気になるところです。

例によって、ではございますが、もしご存知の方がいらっしゃれば、情報を連絡願います。


2012年7月21日土曜日

オルカ

ビラチラシもふだん手を出さないのですが、これはちょっと面白かったので。
「キングコング」直後らしく、美女と怪獣の構図。
リチャード・ハリスは無視の方向で。

鳥取の映画館の発行で、サイズはB6二つ折り。見開きは「友よ静かに死ね」と「華麗な関係」の二本立ての紹介で、”5月21日より”とあるので、通常より1ヶ月遅れといったところでしょうか。

このチラシではじめて知ったのですが、「オルカ」って77年夏公開を予定していたんですね。ビラものでこれだけ早く作られているのも珍しいかも。

「スター・ウォーズ」の全米公開はこの年の5月25日(ジョージ・ルーカスがSWの興行の失敗を怖れて封切時にハリウッドにいなかったという話も有名)、「オルカ」は7月15日ですので、「スパックロマン」という発想が生まれる前のチラシということになります。

裏面。写真がなぜか「サスペリア」のジェシカ・ハーパーに
なっているのが、当時の情報の少なさをうかがわせます。
もともと東宝東和は「キングコング」「オルカ」「ホワイト・バッファロー」をラウレンティスによる動物パニック3部作として売り込もうとしていたらしいのですが、結局はバラバラな売り方をされています。

どうしてそうなったかは分かりませんが、アメリカでのSWの大ヒット、日本における「サスペリア」のヒット、そして「大観衆のいるスタジアムに飛行船が突っ込む」という絵的には「パニック映画」である「ブラック・サンデー」の公開中止といった事態で、この夏に「パニック映画」のトレンドが完全に下り坂になったことが大きいのではないでしょうか。

素人の想像の域を出ませんが、「オルカ」が日本で公開された12月の時点では、SPACという造語をひねり出し、SWという虎の威を借りないと押せなかったのかなぁ、と考える次第です。

2012年7月15日日曜日

タイム・アフター・タイム/ピルクスの審問

対象を広げすぎると収拾がつかなくなるので、ホール版や地方版はなるべく手を出さないようにしているのですが、何かのきっかけでハマってしまうことがままあるわけでして、SABホールを集めるようになったのも、このチラシがきっかけです。

ムックかショップのカタログか何かの広告にチラッと一部が写っていて「なんだろう」と思ったのがきっかけだったように思います。「タイム・アフター・タイム」は好きな映画でしたし、「ピルクスの審問」というタイトルは初耳で、その時に何かした訳ではなかったものの心のどこかにスイッチが入ってしまったんでしょう。

で、関西に住んでいる時に、ショップで何となく集め始めたのですが、ヘラルドクラシックスやIP作品にのめりこんでいるうちに北浜の三越劇場やSABホールといったところに関心が湧いて、「まぼろし映画館」というサイトにたどり着いたのが運のつき。積極的に集めはじめてしまいました。ホール系では人気の青梅や越谷、豊中といったものはほとんど持っていないんですが、どうしてこうなってしまったんだか。

せっかくなので、このチラシを企画した「関西エキプ・ド・シネマ」の独自柄のチラシをこちらでまとめてみました。必ずしも毎回独自柄を発行していたわけではないので、全貌がわからないのですが、ここにない独自柄をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報提供をお願いします。というか、「関西エキプ・ド・シネマ」の情報自体がネットでは全くないのが現状で、もうちょっと何とかならないかと思います。

それにしてもデビッド・ワーナー(「タイタニック」でいきなり再会したときは、すごく嬉しかった!)をここまで大きく扱ったチラシなんて他にないですよね。それだけでも個人的には価値大です。

※H24.7.21追記 チョコさんより第26回「現代ドイツ映画祭」、第28回「ソビエト4大作家展」、第35回「R.W.ファスビンダー特集」の画像を提供いただきましたので、追加させていただきます。ありがとうございました。