2012年12月20日木曜日

終の信託/黄金を抱いて翔べ

今さらですが、11月に観た映画(前編)。

終の信託」。「それでもボクはやってない」に続いて、法制度の問題を取り上げていて、個人的には興味深かったのですが、原作(未読)に引きずられてかもしれませんが、前作より生硬な感じで、論点もちょっと教科書どおりかな、と。
それ以上に、主人公の行為にあまり同情できなかった、というか、ちょっと甘くないかな、と思ってしまったんですが。患者の家族に対しての事前の説明とか。「これじゃぁ被疑者にされるよな」と観客に感じさせるのはマズいのでは。

さすがに旦那が監督しているだけあって、草刈民代は大きなボロが出ない程度に役をこなしていますが、できれば他の俳優で観たかったかな。「Shall weダンス?」のメンツが揃わないと通らなかった企画かもしれませんが。原作とおりのタイトルにした点も含めて、プロデュース的にも中途半端な気がしました。

ただ、特定の政治色が薄い社会派作品は貴重なので、今後も頑張って欲しいところです。高知県警バイクの衝突事故とか誰かやってくれないか。

黄金を抱いて翔べ」。恥ずかしながら井筒監督は初見。観たかった作品はあったのですが、タイミングが合わず、されど借りに行くほどの興味もなく、といったところでして。

日頃の発言から、もう少し政治的な揶揄とかあるのかなとも思っていたのですが、そういったところはほとんどなく、割とストレートなつくり。車の転がし方とか金庫を開けるシーンはなかなかの迫力で、同じ邦画でもワイルド某など比較になりません。

でもなぁ。原作の発売が22年前というのは「犯罪映画」としてはあまりにツライところで、犯罪計画や銀行の防犯システムがどうみても現代で通用するものに思えません。

髙村薫は「マークスの山」しか読んでいませんが、登場人物を細かく描き込んでいく人だと思います。この映画の出演者たちの関係も原作では濃密なのでしょうが、映画の尺でそれを表すのは難しく、終盤で明かされる「オチ」ともいえる人間関係は、映画を観ただけでは、唐突・強引・ご都合の印象をぬぐえないし、主人公たちの「金塊」への拘りについての説得力も弱い。
鶴橋あたりを出すことなく、大阪のアジアな部分を描き出す手腕はさすがだし、出演者も総じて良かっただけに、もう少し脚色するか、いっそ過去の時代を舞台にして欲しかったです。

0 件のコメント:

コメントを投稿