「アカデミー賞最有力!」との合わせ技 |
では全米はいつから泣きはじめたのか。
ヤフー知恵袋や同人用語の基礎知識等、今までもこの話題はとりあげてられているものの、諸説紛々という感じ。この疑問が解決しづらいのは、おそらくTVのCMや日本版の予告編から流行った言葉であり、検証するにも材料が乏しいからでしょうね。
とりあえず、チラシで検証するとどうなるか。幸い、チラシ大全集のように時系列でチラシを並べた本があり、表面だけという制限はあるものの、にらめっこすることしばし…
こちらでも触れられているグリーンマイル(2000年公開)やオールド・ルーキー(2003年公開)といった作品の「泣き」を煽る大量宣伝が、このフレーズがネットに流布した原因だと思いますが、「全米が泣いた!」がそのまま使われている例は見つかりません。やはり、予告編やCMの影響が大きいのでしょう。
「全米」という言葉自体はもちろん昔からある言葉なのですが、映画業界で頻繁に使われだしたのはCICがUIPに組織変更された80年代半ばからと思われます(これはまた、あらためて検証してみるつもり)。
さらにさかのぼってみると、ふたりだけの森(1977年公開)にこのコピーがメインではないものの、発見。裏面でも使われているところをみると、配給会社としてもお気に入りのフレーズだったよう。
ただ、当時の新聞広告を見ると、このフレーズは一切使われていないので、一般的に流布されたものではないと思われます。
ちなみに新聞広告は若手タレントのコメントで埋められているのですが、大見出しの夏目雅子(女優ではなくクッキーーフェイスのモデルとして)はさておき、他のメンツが清水健太郎、松本ちえこ、沖雅也というのが何とも…だったりします。
自分が調べた限り、とりあえずこれがいちばん古かったです。
左が初公開(1969年)、右がリバイバル(1973年)。 どちらも擬人化したフレーズになっています。 |
さすが東宝東和といったところでしょうが、さらにルーツをさかのぼると、同社のクリスマス・ツリー(1969年公開)で「世界が泣いた!」という表現が。
「全米が泣いた」が愛用(?)される原因は、全米が泣くという「擬人化」、あえて「○○中」の「中」を抜く大胆さの持つツッこみ感にあると思うのですが、その種の文法をつくったのは東和かな、というのが現段階の私見です。
あくまで私見であって推定の域を出ませんので、異論・反論・反証等がございましたら、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
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