今回の引越先でありがたかったのが、図書館にある新聞の縮刷版を自由に見ることができるところ。チラシの年代の特定に大活躍してくれるのが、当時の新聞広告なんだけれど、前の所は閉架式で、いちいち受付に届出しなければならず、まだるっこいし、何より恥ずかしい。
で、こちらに来て最初に調べてみたのが、「電撃脱走 地獄のターゲット」。一般的には「電撃脱走」版が流通していて、「地獄のターゲット」の方はレアものになっています。私が持っている「地獄~」は翌年5月に岩国国際(山口県)で上映された時のもの。東京の封切から7ヶ月も経っています。今ではちょっと考えにくい話ですね。
実は今回確認するまで、この作品も「恋のジーンズ大作戦」と同様、封切直前に副題がついたため、東京版のチラシが間に合わなかったのかなと考えていました。ところが、当時の広告を確認すると「電撃脱走」のまま。ということは、二番館や地方で公開する時に改題したということなのか。
当時は二番館に下りたり、地方で公開する時にタイトルをいじるのはよくあったようで、以前調べていた時も、MGMの「…チック…チック…チック」(1970年5月封切)が二番館では「白昼の非常線」というタイトルになっていてびっくりしたことがありました。
「それにしてもわざわざチラシを作るかなぁ…」と思いながら、縮刷版をめくっていたところ、なんということでしょう、改題に関する記事が載っていたのです。
当時の朝日新聞の夕刊に「映画 観客との接点」という短期連載がされていて、10月20日の第6回に「買手市場に興行側強気」の例として、「東宝で上映中の『電撃脱走』。配給会社がつけたのは『地獄のターゲット』だったが、東宝が首を横に振った。同じ作品なのに、一時、ポスターは『地獄のターゲット』、新聞広告は『電撃脱走』と混乱した。」とありました。当時から錯綜していたんですね。封切では興行側に折れて、その後の公開で本来のタイトルに戻したということでしょうか。それにしても「地獄のターゲット」の何が良くなかったのか。まだまだ「地獄」という言葉が興行側にタブーだったとか?ちょっと謎です。
余談ですが、「電撃脱走」の新聞広告の上のテレビ欄の記事では「『ウルトラマン・エース』の南夕子役の星光子が今夜の放送でお別れになる」とか新番組の「レインボーマン」について原作者の川内康範が「こども番組にも祖国愛を」と抱負を語ったりと興味深かったです。当時小学校低学年だった自分にとっては、こっちの方が身近な話題でした。
最近改題されたもので言うと、「身元不明」→「アンノウン」が記憶に新しいです。
返信削除これはこれできちんとした理由があっての事で全国的な事ですが、公開地域による改題も少しですがあるようです。
改題と聞いて自分が思い出すのは、ジェーン・フォンダの「コールガール」ですね。
確か名古屋では、「ニューヨーク売春地帯」というポルノまがいのタイトルで公開されたらしいですが、当時小学生の私では知るすべもなく、割合最近知って驚いた次第です。このタイトルでのチラシは出ていません。
公開する地域によって、作品のタイトルを変えるのって配給側も大変だったでしょうね。
「愛すべき女・女たち」→「女性欲情史」とか、ポルノっぽいタイトルを付ければヒットしたんでしょうかね(笑)
余談ですが、アダルトチラシのファイルを眺めてると、70年代の作品タイトルは漢字タイトルが非常に多いです。
邦画も同様で、学生の頃などは一般漢字よりこの手のタイトルに使われてる漢字の方がよく知ってたりして・・・。
でも、この辺りの改題後チラシというのは存在するんでしょうか?地方の小屋が作った館ニュースなんかには載ってそうですよね。
自分はよく地方のビラチラシ等をチェックしてますが、このような珍品に巡り合った時が幸せな瞬間です。
チョコさん、コメントありがとうございます。
返信削除「コールガール」が名古屋では改題されたという話は以前どこかで目にしたことがあって、「ハリウッド売春地図」(これはこれで別の映画)と混同して覚えていました。「ニューヨーク売春地帯」でしたか。NYとLAでは場所が全然違いますね。観ていないのがバレバレ。
「女性欲情史」は少し前に鳥取の地方版(ビラ)がヤフオクに出て、それなりに高くなっていました。