2012年2月23日木曜日

フェア・ゲーム

週末、佐賀に行く機会があり、ついでという感じでシアター・シエマに行ってみた。
雑居ビルの看板は改装前の映画館の名前のまま。カフェを併設したり、一部の座席をソファーにしたりと、いろいろ工夫しているのですが、ちょっと予算が…という感じ。頑張って欲しいとは思うけれど、劇場内の壁が白いのは勘弁して欲しいなぁ。

観たのは「フェア・ゲーム」。「グリーン・ゾーン」と同様の「大量破壊兵器は無かった」系の社会派作品。ボーンシリーズの監督が似たような題材を取り上げているのが興味深い。

エンタテインメントを装った告発映画を目指したのかもしれないけれど、結果としては中途半端な感があった「グリーン・ゾーン」に比べると、こちらはプレイム事件というスキャンダルを題材にしているものの、事件の真相を追及するというよりは、渦中にあった夫婦間の葛藤に焦点を当てながら、主たる観客であるアメリカ国民に「民主主義国家に生きる一国民としての覚悟」を問うというアプローチであり、これは正解だったように思いました。何せ妻はCIA職員、夫は元外交官のビジネスマンという、思い切り国益を追求する立場だったので、ナイーブな体制批判にはなりようがないし。それにしても組織が「結論ありき」で上から物事を進めていくのはやっぱりコワいですね。
事件に対するマスコミ(イラク戦争賛成派・反対派双方)の取り組み方やラストの大学だか市民講座だかでのショーン・ペンの熱弁に接すると、民主主義に対する態度の国民性の違い、成熟度の違いをあらためて考えさせられます。

余談ですが、サム・シェパード(ライトスタッフ)の存在感にはびっくり。出演していることすら知らなかったのですが、孫相手に(カウボーイの)輪投げに興ずる後姿がチラッと映っただけで「もしや」と思わせるのだから流石です。役柄もあったとはいえ「ブラック・スワン」でのバーバラ・ハーシーの変貌ぶりにショックを受けたので、この健在ぶりは嬉しかったです。


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