おことわり

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2012年3月27日火曜日

卒業

初版はみゆき座館名だとお値段が跳ね上がるそうですが…
私は文化放送で充分です。
そろそろPCも片づけなくては。
ということで、お休み前のエントリーはこのシーズンにふさわしく、「卒業」を。

見分けにくい70年代のリバイバル版をこちらで整理してみましたので、参考にしていただければ幸いです。

それにしても、70年代のどの時期もロングランしているのは大したものです。

裏面の文章も熱がこもっていますね。作品に対する愛情が伝わってくるようです。こういう文章は今ではNGなのかもしれませんが、繰り返し使われているところをみると、映画会社も気に入っていたのかなぁ、とも思います。

それでは4月半ばの再開まで、しばしのお別れです。
See you again!

2012年3月25日日曜日

引越し余録

引越しの荷物の整理をしていましたら、以前のエントリーで紹介した、シネショップがチラシとセットで販売していた名場面写真の一部が出てきましたので、こちらで紹介します(渡辺屋さんから提供いただいた画像とダブる分は割愛)。人に譲ったものもあるので、多分手持ちはこれだけかな。

なぜかオクトパシー公開時のチラシセット袋の中に、昔の「ぴあ」の表紙を上にして入ってました。

こんなことばっかしているから荷造りが進まないんだよなぁ。

CFDラインナップ1991

そろそろ引越しの準備も佳境に入っており、更新できておりません。
渡辺屋さんからラインナップの画像を提供いただいているのですが、なかなかアップできていませんでした。取急ぎCFD(チャンネル・フィルム・ディストリビューターズ)の1991年ラインナップをご紹介しようと思います。他の画像はこちらです。サイズはA4片面です。

ご紹介、といってもこの会社についてはほとんど情報がネットでは出てきません。
1989年の「ハンドフル・オブ・ダスト」あたりから活動開始、この1992年5月23日公開の「グランド・ツアー」あたりで活動停止しているようです。

提供会社として名前がでてくる「チャンネル・コミュニケーションズ」を経営していたポール・ホワイトという英国人がキーパーソンのようで、この時期に英米と日本をつないでいろいろと活動しており、ネットで検索すると人気ゲーム「ドラクエ」のハリウッド映画化にも絡んでいた話も出てきました。

この「グランド・ツアー」も当時経営多角化を模索していた山形テレビが出資して出来た合作のようで、作品の評判はよかったものの、興行的には失敗に終り、これらの失敗を端に発してこのテレビ局はフジからテレ朝系にネットチェンジすることになったようです。

アスキーのラインナップのエントリーにも関連しますが、バブル期はさまざまな金や人があちこちに行きかっていたようで、このCFDという会社もそんな時代の「徒花」といえるのかもしれません。

渡辺屋さん、今回も提供ありがとうございました。

2012年3月17日土曜日

J・エドガー(のその後)

補足情報その②。

昨日、映画館の前を通ったら「J・エドガー」が31日より公開、と告知のポスターが貼ってありました。
「およよ」と入口前のラックをのぞきこむと、「アーティスト」の二つ折りやらと混じってこんなものが。

一瞬「マン・オン・ザ・ムーン」の夢ふたたび、と思いましたが、んなこたぁある訳ない。
表裏の公開日部分をカットしただけでした。おかげで表から「監督 クリント・イーストウッド」の文字が消滅。HPも現時点では更新されていないし、やる気無いなぁ。

友情

補足情報その①。

以前のエントリーで紹介した「お宝モノ鑑定マガジン」の劇場未公開チラシの項にイヴ・モンタンの「友情」が掲載されていて、「当時の人気スターが共演した豪華な映画だが、権利上の問題が発生したのか?」と説明されていますが、1975年に公開されています(下部参照)。

 allcinemaでは公開時期不明、キネ旬DBに至っては未掲載ですので、資料が乏しかったのでしょうか。

三越映画劇場なので、映画館ではないということなのかもしれませんが、同じ1975年のFOXによる三越上映作品である「みどりの讃歌」は登録(キネ旬は「賛歌」になっている)されています。

ちょっと不思議、というより結構いい加減ということなんでしょうね。

2012年3月11日日曜日

ゴーストライター

本日は3月11日。
あらためてまして、東日本大震災でお亡くなりになられた方々ならびにご家族の皆様に心から哀悼の意を表します。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

さて、昨日は車を飛ばして大分遠征。日田シネマテーク・リベルテにて「ゴーストライター」を。
映画館はボウリング場の2階にひっそりと。映画ファンの、というより地球市民の憩いの場、という感じ。さすが筑紫哲也を生んだお土地柄というべきか。映画館に来る人は観客であって、文化人ではないのだから、もう少し映画ファン寄りの「経営」をした方がいいように思いますが、余計なお世話かな。画面左側のスピーカーの真ん前にビルの太い柱が鎮座する作りが変えられるわけでもないしね。坂本龍一も2周年のお祝いを贈っていましたし、頑張っていただきたいものです。

映画の方ですが、さすがポランスキー、抜群の語り口。妙な言い回しですが、「あぁ、映画を観ているなぁ」と安心してしまいます。この辺の按配をうまく説明できないのがもどかしいのだけれど、ポランスキーは映像で物語を語っていますが、フィンチャーの「ドラゴン~」は説明しているだけなんですよね。ところどころいいショットがあってもそれは映像としてであって、映画の語りになっていないので、ぶつ切り感が出てしまう。ミステリー・サスペンスの演出としてはまだ未熟。ここらがベテランと若手の違いでしょうか。

とはいってもあえて言わせてもらえば、キネ旬1位はほめられすぎ。映画としての安定感、以前もこんな気持ちになったなぁと思い返したらイーストウッドの「ブラッド・ワーク」を観た時だったので、決して新しい映画ではないでしょう。おそらく選考委員から満遍なく票を集めた結果なのでしょうが、ちょっと違うよなぁ、と。

個人的にはそんなことよりも、ティモシー・ハットンやジム・ベルーシが観終わるまで分からなかったことがちょっとショック。顔変わりすぎだろお前ら。イーライ・ウォラックも分からなかったなぁ。「ウォール・ストリート」の時は分かったんだけれど。96歳ですが、まだまだ頑張って欲しいものです。


2012年3月10日土曜日

おかえり、はやぶさ

これはもしかして、九州のみのタイアップものかも。
「はやぶさナビ」となっていますが、見開き部分は映画の紹介に割かれており、裏面は九州内のプラネタリウム・天文台の案内になっています。

それにしても「はやぶさ」ものは、外資が早いのが取り柄岡本信人堤幸彦くん東映が世界の渡辺謙松竹は3D、と3作もできたけれど、 どうだったのだろう。中学生の頃「タワーリング・インフェルノ」のチラシを読んで、似た原作を2つの映画会社が合作したことを知って感心した者としては、それぞれの映画会社の劇場が競っていた時代ならともかく、シネコンに同居している現状で一本化できないのはいかがなものかと思ってしまいます。なんか「日本の希望」という財産を兄弟で相続争いしている感じが。はやぶさ君も成層圏の陰で泣いてやしないですかね…
などと、バカなことを考えながら暮らしていたところ、1,000キロの彼方より、「オリヲン座からの招待状」が届いてしまいました。転勤です。
九州に来てたった1年、個人的にはAKIRAの名台詞、「やっとモーターのコイルが暖まってきたところだぜ」という感じがあって、残念なのですが、こればかりはいたし方ありません。

「日常>趣味>ブログ」の順で生きていますので、当面、今以上に更新が滞ることとなり、特に月末月初、新居(まだ決まっていません)にネットがつながるまでは更新も不可能です(コメントは携帯で管理できるようになりましたので、連絡関係は大丈夫です。)。

楽しみにしている方(がどれだけいらっしゃるか分かりませんが)には申し訳ありませんが、そういうことで、ひとつご了解ください。

2012年3月4日日曜日

大いなる楽園

MGMのお蔵入り作品のエントリーをアップしたところ、チョコさんより「ブロンド美女連続殺人」未公開の理由について、情報をいただきました。

1997年1月に徳間書店から発行されたムック「お宝モノ鑑定マガジン」のP45に「劇場未公開チラシ」の項目があり、「等身大の恋人」や「ザ・ハルマゲドン」「ブラック・サンデー」等と並んで紹介されています。そのキャプションに「劇場にディオ・ビジョンなる設備が公開までに造れず流れた。」とあります(当該ページの画像もいただいたのですが、さすがに誌面の掲載は見送らせていただきます)。 コメントでいただいた源頼光さんの情報もこれが元ネタかもしれません。

もっともらしい理由ですが、そもそも2台の映写機を同時に回す、というやり方自体がどうなのよ、という気がします。3台同時をすでにシネラマでやっている訳ですし。

とはいえ、自分にとってはこういうギミックというか、新方式みたいなものは非常にそそられるものがありまして(おそらく昭和50年代の東宝東和の宣伝の影響)、ショップやオークションでその手の物を見かけると、つい食指を伸ばしてしまいます。

そのひとつがこの「キネラマ誕生!」と盛大に銘打った「大いなる楽園」。1959年製作1962年公開のソ連映画です。
キネラマ…怪しい響きがたまりません。明らかにシネラマを意識しています。内容も各地の景色を見せる観光映画というつくりで、一連のシネラマ作品と同じです。

シネラマ方式は1952年にアメリカで開発され、日本では1955年に帝国劇場で公開されています。東宝系なので、松竹が対抗してソ連製に手を出したということでしょうか。スプートニク計画vsアポロ計画に代表される冷戦の影響がここまでというか。

参考までにシネラマ第1作の「これがシネラマだ」のリバイバル(1964年)のチラシもあわせてアップしましたので、興味のある方はぜひ比較してみてください。スピーカーの数やつなぎ目の面では後発が勝っていたようですが、イラストがどうみてもシネラマのパクリなのが哀愁を誘います。

結局、松竹系も1963年の末には「おかしなおかしなおかしな世界」でシネラマに進出することとなり、ソ連製の新方式はこれ一作で消えてしまったようです。映画興行における浅草の地位低下と軌を一にしているような気がするのは私だけでしょうか。

あらためてチョコさん、源さんの情報提供に感謝いたします。ありがとうございました。

2012年3月3日土曜日

ラインナップ(アスキー1991/ギャガ1992)

以前のエントリーで松竹とブエナビスタのラインナップチラシを紹介しましたところ、今度は渡辺屋さんからアスキー映画の91年、ギャガコミュニケーションズの92年のラインナップの画像を提供いただきました。アスキー(B5片面)はここに、GAGA(A4片面)はここにあります。

この頃は仙台に住んでいて、仕事に夢中でしたので、映画もあまり観ない生活で、チラシからも疎遠でした。そんな訳で観た作品も「フライド・グリーン・トマト」だけ。あとビデオで「イヤー・オブ・ザ・ガン」くらいでしょうか。というか、この辺の作品群って仙台でかかっていたのかしらん。

バブル期あたりからレンタルビデオの普及とあいまって、公開本数が異常に増えはじめ、それに伴い新しく配給業務に乗り出す企業が増えてきました。アスキー映画は異業種からの参入組で、ベストロン映画(ここもマイケル・ジャクソンの「スリラー」のビデオであてたバブル企業)あたりが母体だったはず。いろいろ調べてみると、ハリウッドの製作者にずい分とお金を突っ込んだようで、その辺でアスキー本体も傾いてしまったようです。先日の午前十時の映画祭で観た「バンド・ワゴン」でも出資者。監督、主人公たちとの間で様々な駆け引きが繰り広げられていましたが、映画は笑ってみていられるけれど、出資する立場から見れば、賭け金がガンガン消えていくわけで、ショウビジネスは怖いです。

アスキーのラインナップを見ると、映画ファンの興味は引けそうだけど、集客力としてはどうかなぁ…という感じがしますね。結果として不遇な扱いになったものも多く、左に挙げた4作のうち、「オプションズ」と「エニッド・イズ・リービング」(ビデオ題はなんと「ハリーの妻難」!)はビデオスルー、「リトル・モンスターズ」も東京国際ファンタスティック映画祭で上映はされたものの、「リトル・モンスター」でビデオスルー。「ファー・フロム・ホーム」は「ネバダ・ミステリー/静けさは危険な香り」として94年7月にようやく公開されましたが、ビデオチラシはあるものの(当方未所有)、おそらく映画のチラシは無いと思います。

一方のギャガですが、「死霊の盆踊り」から立ち上がって、四半世紀。ここも紆余曲折いろいろありますね。「エリン・ブロコビッチ」の主題歌のタイトル Everyday Is A Winding Road を地で行くような会社な気が。

この頃はまだ雌伏期とでもいうべきか、まだまだ派手なラインナップはありませんが、フランス映画を除いて着実に公開にこぎつけていたようです。「ボーイズ・ライフ」にディカプリオの名前が出ていないのも、時代を感じます。

唯一公開されなかったのが、右の「イントゥ・ザ・サン」。マイケル・パレ主演作なので、かかったとしても銀座シネパトスあたりだったかもしれませんが、うまくはまらなかったんでしょうかね。ちなみに「メタルウィング」という名でビデオになっています。

いやぁ、ラインナップは面白いなぁ。学生時代、古本屋で映画雑誌を立ち読みしていて、CICの広告で「顎(仮題)」を見つけ、ニヤニヤした記憶が甦ります。

渡辺屋さん、今回もありがとうございました。

2012年3月1日木曜日

ドラゴン・タトゥーの女(を観た)

日曜の夜、「ドラゴン・タトゥーの女」のレイトにすべり込み。

原作が面白かった人には、まぁ楽しめるのではないでしょうか。
尺に収めるために人物の整理をしたほかに、脚色はほとんど無く、「絵解きかよっ」というくらいのストレートな映像化。結局一作も観なかった「ハリ・ポタ」も原作者がうるさかったという話だし、ベストセラーの映画化はいろいろ難しい問題があるのかもしれません。

では、原作を読んでいない人が観て、果して面白いのかというと、疑問が残ります。過去の事件の謎解き部分はうまくまとめてあるけれど、主人公の現在の部分、例えば、ミカエル(ダニエル・クレイグ)を陥れた新興企業との確執の描き方が弱いので、彼が事件の調査を引き受けた動機に説得力が無くなってますし、「事件」解決後のストーリー展開に興が乗らないきらいがありました。原作を読んでいない人は終盤いったい何が起きているのか判らなかったかもしれないです。押し花のプロローグも原作どおりなのは嬉しいけれど、説明不足なので、かえって混乱するかも。リスベット(ルーニー・マーラ)と元の後見人との描写もわかりにくいし(次作への布石なのかもしらんけど)。

ダニエル・クレイグは、ジェームズ・ボンドとは真逆の、女性に頭が上がらない文科系男を見事に演じて魅力的。ルーニー・マーラもリスベットのキャラクターを体現し、オスカーノミネートも納得の感があります。でも、その二人がぶつかったケミストリーが映画として魅力を発揮していたかというと、そこは弱いです。つつがなく映像化しました、というだけかな。

よくぞ映像化してくれた、という面もあるし、フィンチャーですから、バイクと特急列車をからめたショット等、唸るシーンももちろんあるので、悪口ばかりを言うつもりは無かったのですが、期待が大きい分、要求水準も高くなるわけで、どうしても辛口にならざるを得ない、というのが本音です。